以前の研究で塩基性薬物ノルエフェドリンは、ヒトSH-SY5Y細胞に暴露することで顕著な空胞化と細胞毒性を引き起こすことを明らかにしている。本研究では、細胞内空胞化を伴う細胞毒性機構についてより詳細な検討を行った。薬物暴露後の遺伝子発現変動を解析したところ、コレステロール生合成に関する分子群の発現の増加が確認された。またSREBP2の活性化が誘導されており、結果細胞内にコレステロールの蓄積が認められた。誘導される細胞死は、ネクロトーシスおよびSREBP2の阻害剤で細胞死は顕著に抑えられた。 以上の結果から塩基性薬物による細胞死は過剰なコレステロール蓄積によって引き起こされることが示唆された。
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