研究課題/領域番号 |
25860507
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
見坂 恒明 自治医科大学, 医学部, 講師 (90437492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 誤嚥性肺炎 / 経口摂取再開 / 廃用 / 早期経口摂取再開 / 意識レベル低下 / Glasgow Come Scale |
研究概要 |
本研究は、誤嚥性肺炎患者における経口摂取再開時期の基準となる要因を検討し、経口摂取再開後の肺炎再発を予測する臨床ルールの作成を行うことを目的とする。まず、経口摂取の再開時期の検討のため、経口摂取再開後の再誤嚥に関連する要因を検討した。当科に入院した誤嚥性肺炎患者144名(男性89名、平均年齢74.2±17.4歳)で検討した。 解熱後3日以内に経口摂取を再開した群は、4日以上後に経口摂取を再開した群に比し、全入院期間、解熱から退院までの期間が有意に短く、また再誤嚥による経口摂取再度中止は有意に少なかった。これらを目的変数とした多変量解析においても、解熱後4日以上後の経口摂取再開は有意な説明変数であった。誤嚥性肺炎において、解熱からの絶食期間が長いことは、入院期間延長、入院中の再誤嚥による経口摂取中止の増加との関連が示唆された。 また、多変量解析では、解熱後4日以上経過した後の経口摂取再開の他、入院時のALB 3g/dl未満、経口摂取再開時のGCS 14以下が有意に誤嚥による食事再度中止に関連する要因であった。経口摂取再開時は,意識レベルに注意する必要があり、解熱後の経口摂取再開の遅れにより、再誤嚥の危険性が高まることが示唆された。本研究内容は、第110回日本内科学会総会・講演会及び第4回プライマリ・ケア連合学会にて発表し、現在論文作成中である。 今後、臨床医が経口摂取の再開時期を決定するに至る判断基準の実態を明らかにするため、国内の内科・総合内科・総合診療科を標榜する医療機関リストから無作為抽出した医療機関(全体の10%:約1000施設を想定)を対象に、自己記入式質問票調査により、臨床医が経口摂取再開の基準にしている項目を抽出することとしている。現在、自己記入式質問票の作成段階にあり、完成次第、同質問票を郵送予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床医が経口摂取の再開時期を決定するに至る判断基準の実態について、基準項目の選定に手間取った。このため自己記入式質問票調査がまだ完成しておらず、初年度計画であった、臨床医が何を基準に経口摂取再開を行っているかの抽出およびリストの作成に遅れを来している。
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今後の研究の推進方策 |
自己記入式質問票を郵送後は、回収しその結果をもとに、臨床医が何を基準に経口摂取再開を行っているかを抽出する。抽出後は、経口摂取再開の基準にしている項目のリストを作成し、その頻度を集計する。 次に、臨床医が経口摂取再開の基準にしている項目の妥当性の検証を行う予定である。 検証には、当院および関連施設の入院データを用い、過去起点コホート研究法を行う。現在、約500例の誤嚥性肺炎での入院患者のデータを有しており、さらに医療機関を募り症例数を増やす予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
自己記入式質問票がまだ完成していない。このため印刷費及び通信費で予定していた支出が次年度繰越しとなった。また学会発表は行ったものの論文作成が途中であり、翻訳・校閲にかかる費用も繰越しとなった。 次年度は、上記の印刷費及び通信費による出費があり、また論文作成にかかる翻訳・校閲費用も予定される。また自己記入式質問票の集計に係る人件費、学会発表、論文投稿料等で支出予定である。
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