研究課題/領域番号 |
25860507
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
見坂 恒明 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90437492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 誤嚥性肺炎 / 経口摂取再開 / 廃用 / 早期経口摂取再開 / 意識レベル低下 / Glasgow Come Scale / 再発予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、誤嚥性肺炎患者における経口摂取再開時期の基準となる要因を検討し、経口摂取再開後の肺炎再発を予測する臨床ルールの作成を行うことを目的とする。 平成26年度においては、臨床医が経口摂取の再開時期を決定するに至る判断基準の実態を明らかにするため、医療機関リストから国内の内科・呼吸器科を標榜する全2490の病院を対象に質問紙票を郵送した。14.1%にあたる350病院より回答を得た。質問紙票に提示した24項目に対して、どの程度経口摂取開始の参考にするか、「大いに参考にする」、「一応参考にする」との合計が90%以上となった項目は、意識レベル (97.4%)、SpO2 (96.0%)、主治医の判断(95.4%)、見た目の印象 (92.6%)、体温 (92.3%)、嚥下機能評価済み (92.0%)、精神状態 (92.0%)、呼吸数 (90.3%)、コメディカルの意向 (90.0%)の9項目であった。本人の意向、performance status、肺炎重症度、家族の意向、酸素投与の有無の各項目も合計が80%を超えていた。提示した24項目以外では,6施設で喀痰量の減少を参考項目に挙げていた。誤嚥性肺炎患者の経口摂取開始の目安には多くの項目が用いられており、主治医の判断、見た目の印象、コメディカルの意向、本人または家族の意向など一般化しがたいものも含まれていた。しかし、当初想定した項目以上に、新規の項目は抽出できなかった。本研究内容は、第6回プライマリ・ケア連合学会学術大会にて発表予定である。 同質問紙票の回答で、誤嚥性肺炎の再発予防のため、意識レベルを高める努力、嚥下困難を生じる薬剤の減量・中止、就寝時の上半身挙上を積極的に行っている施設は30%台であった。これは呼吸器科医が肺炎診療を行っているかに関わらず低い数値であった。臨床医の誤嚥性肺炎の再発予防に対する積極的な取り組みが必要である。本研究内容は、第89回日本感染症学会学術講演会で発表した。 現在、上記の研究結果について論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床医が経口摂取の再開時期を決定するに至る判断基準の実態を明らかにするため、医療機関リストから国内の内科・呼吸器科を標榜する全2490の病院を対象に質問紙票調査を行った。臨床医が何を基準に経口摂取再開を行っているかの抽出について、想定した項目以外のものは認めなかった。 質問紙調査で行った項目は、主治医の判断、見た目の印象、コメディカルの意向、本人または家族の意向など一般化しがたいものを除き、概ね、平成25年度に行った研究で項目の妥当性の検討をしているため、達成状況は概ね予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査で行った項目は、主治医の判断、見た目の印象、コメディカルの意向、本人または家族の意向など一般化しがたいものを除き、概ね、平成25年度に行った研究で項目の妥当性の検討しているものである。検討結果をもとに、経口摂取再開後の肺炎再発を予測する臨床ルールの作成を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、学会発表は行ったものの論文投稿中のものがあり、見積もっていた論文掲載料等が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、学会発表、また論文作成にかかる翻訳・校閲費用、論文掲載料等で支出予定である。
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