研究概要 |
Lactobacillus brevis 由来の生理活性物質であるポリリン酸はマウス慢性腸炎モデルにおいて,腸管短縮の改善,組織学的線維化および炎症の改善作用があることを明らかにした.その機序として,炎症により過剰発現したTGF-β1, Smad 4 ,CTGFなどの線維化関連分子の産生抑制および炎症性サイトカイン(インターロイキン1β, TNFα ,インターフェロンγの発現抑制が関与していると考えられた. 腸管組織を構成する,上皮細胞,単球系細胞,線維芽細胞を用いて,ポリリン酸の標的細胞を検討した結果,ポリリン酸は腸管上皮からのTGF-β1の発現を抑制することで,TGF-β1刺激による腸管線維芽細胞からのコラーゲン産生を抑制することが明らかになった.また,腸管上皮細胞に対してはインターロイキン1βの発現抑制作用を,マクロファージに対してはTNFαの発現抑制作用を発揮することが明らかになり,標的細胞によって異なる作用をもつことが示された.
|