研究課題
「炎症性ストレスによるmicroRNA機能異常が一因となる慢性炎症からの消化器発癌」と「その予防法」について研究を進めている。microRNAの機能を増強する薬剤としてROCK阻害剤を見出し、その作用機序を解明して論文化した。現在、その薬剤の投与により大腸の炎症に伴う腫瘍形成を抑制できることについての論文を投稿中である。慢性炎症に伴う肝発癌については、肝細胞内に胆汁鬱滞が起こり慢性的に肝臓に炎症が惹起され、その結果肝発癌を生じるMDR2ノックアウトマウスや、インスリン抵抗性を惹起させ、NASHから肝発癌を生じるSTAMマウスを用いた。それらのマウスにROCK阻害剤を投与することによる腫瘍形成の抑制について解析したが、大腸で認められたような腫瘍形成の抑制効果は認められなかった。今後はmicroRNA機能減弱から発癌に至る分子機構の解明を行い、大腸だけでなく、大腸以外の他臓器での慢性炎症に伴う発癌の分子病態の解明を行う。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Nucleic Acids Res.
巻: 43(15) ページ: 7577-89
10.1093/nar/gkv728.