近年、高脂肪食や運動習慣の欠如を背景として、脂肪肝炎(NASH)が急増している。本研究の目的は、過栄養状態の肝臓において発現が亢進するSrc homology phosphatase 2 (Shp2)が肝臓の脂肪蓄積と炎症の誘導・維持をいかに制御しているかを明らかにすることである。 本研究によって、1)肝臓特異的Shp2欠損マウスは、特殊飼料による肝臓への脂肪蓄積と炎症を著明に抑制した。2)Shp2阻害剤の投与は特殊飼料による脂肪肝炎を部分的にではあるが改善することが明らかとなった。従って、Shp2が脂肪肝炎の新しい治療標的分子となりうる所見が得られたと考える。
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