研究課題/領域番号 |
25860529
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
久保田 全哉 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90542407)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肥満関連大腸発癌 / 大腸癌 / 化学予防 |
研究実績の概要 |
糖尿病治療薬のmetforminと緑茶カテキンEGCGが、APC遺伝子ヘテロ変異を有する肥満・糖尿病マウス(db/db-Min/+マウス)の小腸ポリープ形成を抑制することを明らかにした。また天然色素カロテノイドの一つであるastaxanthinが、酸化ストレスの改善、炎症の抑制、NF-κBシグナルの制御を介して、db/dbマウスにおけるアゾキシメタン(AOM)誘発大腸前癌病変の発生を抑制すること、またACE阻害剤(降圧剤)のcaptoprilが、レニン-アンギオテンシン系の抑制を介して、糖尿病・高血圧ラットにおけるAOM誘発大腸前癌病変の発生を抑制することをそれぞれ論文報告した。これらの研究成果は、生活習慣病治療薬やある種のphytochemicalが、肥満・メタボリック症候群関連大腸発癌を抑制する上で、有効な候補薬剤・化合物である可能性を強く示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
db/db-Min/+マウスのサンプルを用いて、APC遺伝子変異・肥満関連大腸発癌を制御する遺伝子・蛋白・シグナル異常に関する研究を行っている。また同マウスや、その他のメタボ関連動物発癌モデルを用いて、大腸発癌抑制に対する各種薬剤の作用評価に関する研究を順調に展開している。臨床研究に関しては、大腸疾患患者に関するデータベースの拡充をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られたサンプルを用いて、APC遺伝子変異と肥満による大腸発癌においてcriticalな役割を果たす新規遺伝子・蛋白・シグナル異常を明らかにすべく、網羅的な解析をすすめていく。本研究の最終目標は、肥満関連大腸発癌予防を目的とする臨床介入試験を実施し、metformin、EGCG等の各種候補薬剤が実臨床で予防薬となり得るか検討することである。臨床研究に際しては、biomarkerとしてaberrant crypt foci(ACF)を評価対象とする予定であり、その事前準備として、肥満を合併した大腸腺腫・大腸癌患者と健常対照群について、直腸ACFの拡大内視鏡による観察、カウントを行う前向き観察研究をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の準備段階で、平成27年度に上記の通り更なる詳細な実験を計画しており、平成26年度以上に費用が必要となると考えられ、次年度への繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
支出用途としては実験器具、試薬の購入費用、また中間結果発表のための学会参加費、旅費などを検討している。
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