研究課題
本研究は、大腸がんの発育進展の原因のひとつであるマイクロサテライト不安定性 (MSI) により誘導されるDNAグリコシラーゼmethyl-CpG binding domain protein 4 (MBD4) のフレームシフト変異が、大腸がん化学療法の薬剤に対する感受性をどのように変化させるかを解明することを目的としている。また、大腸がん細胞内での変異型MBD4の発現が抗がん薬投与下におけるMBD4の下流の塩基除去修復 (Base Excision Repair; BER) 経路に与える影響を解析することにより、薬物療法の治療効果向上のための標的分子を探ることも目的とした。平成26年度までには以下のことが判明した。1)変異型MBD4蛋白はDNA中の5FUへの親和性が高い。2)変異型MBD4発現HCT116細胞は5FUへの感受性が高い。さらに続いて平成27年度には、以下のことが判明した。3)トリフルリジン(FTD)の感受性はDNAミスマッチ修復異常の有無に関わらず同様の感受性がある、4)FTDの感受性は5FU長期暴露後に生じた耐性細胞株において感受性が高い、4)FTDの感受性は変異型MBD4発現細胞に感受性がより高い。5)FTDの暴露によって、変異型MBD4発現細胞はG2/M停止を経て細胞死に至る。今後臨床例での確認を行う予定である。
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Human Genome Variation
巻: 2 ページ: 15057
10.1038/hgv.2015.57