研究概要 |
慢性膵炎は進行性・難治性の疾患であり、その中心的病態である膵線維化の進展機序は未だ不明である。本研究はWntと膵組織のリモデリングに重要な役割を担う筋線維芽細胞(活性化星細胞)との関連性に着目し、Wntシグナルを介した膵線維化進展機序の解明を追求するものである。 初年度である平成25年度はセルレイン誘導慢性膵炎モデルマウスにおいて複数のWntシグナルの活性化が認められたpreliminary研究の結果を元に、ヒト膵組織から単離した膵線維芽細胞を用いてWntやFZd受容体の発現をmicro array assayおよびRT-PCR法を用いて検討した。これらの解析ではIL-1βやTNFαの刺激によりWnt1,5a,8aの発現増強を認めた一方、TGF-βの刺激ではWnt8b,9b,11の発現増強を認めた。現在これらの結果に基づき、Wnt発現における細胞内シグナルの解析中である。本年度はさらにTGF-βやMatrix metalloproteinase(MMP)との相互関係についてのシグナル解析および切除膵組織でのWnt発現についての検討を進めていく。
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