本邦における大腸癌の増加は顕著であり、その病態の理解と治療法の開発は急務である。本研究では、M16ファミリー・メタロプロテアーゼの一種Nardilysin(NRDc)の大腸癌における役割を検討した。その結果、NRDc KOマウスでは腸腫瘍形成が顕著に抑制され、TACE活性、TNF-alphaのシェディング、NF-kappaB活性が低下していた。また、大腸癌患者の血清NRDcは、健常者に比べ上昇していた。さらにNRDcの阻害によりヒト大腸癌細胞株およびxenograftの増殖が有意に抑制された。これらの結果から、NRDcを標的とする大腸癌治療へ向けた基礎的知見を得ることが出来た。
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