研究課題/領域番号 |
25860539
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
卜部 祐司 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 客員研究員 (10648033)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 一塩基多型 / 薬理遺伝学 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患は治療法の進歩により長期寛解が期待できるようになってきている。一方で治療が多様化したため、寛解導入や維持療法をどうするかより複雑化している。また、これら治療法の効果に関与する素因は未だ不明なまま、残されている。治療法の効果には遺伝的素因が深く関わっている可能性が高く、薬理応答性に関する遺伝的因子の検索は必須である。我々は広島大学および関連施設にて書面による同意を得た上で提供させるヒト由来試料(血液)および診療情報を用いる。試料および診療情報を連結可能匿名化した後、ヒト血液由来試料からゲノムDNAを抽出する。また診療情報から患者背景(喫煙歴、飲酒歴、BMIなど)、炎症性腸疾患の病勢の推移と治療薬の投与履歴から治療薬の効果判定を行う。さらに定期的におこなっている大腸内視鏡検査の際に組織を生検にて採取する。症例数としては1000人の試料および資料について収集する。現時点まで試料を530例を収集している。これらの収集したサンプルの診療情報を解析して、インフリキシマブやアダリマブといった抗TNFα製剤の使用者を抽出して、responderとnonresponderにグループ分けを行っている。このうち代謝経路に関連する遺伝子上にあるSNPをinvader assayにてタイピングを行い、比較検討を行っている。いくつかのSNPは傾向はありそうではあるが、現在までBonferroni上有意な関連をもつSNPは同定されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年も問題点として書いたサンプル収集の問題であるが、抗TNFα製剤の使用者を主なターゲットに試料の収集を行っている。本年は検査時だけでなく外来時においてもサンプル収集を行っている。これに伴い、当院のもつサンプルについてはほぼ収集をおえることはできた。しかしながら他院のサンプルについてはサンプルの収集が十分ではないが、リマインダーを行い収集をしている。 現在は、抗TNFα製剤をメインのターゲットとして研究を行っているが、強いオッズを示すSNPが少なく、サンプルサイズの問題が現段階では十分ではない。
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今後の研究の推進方策 |
当院および関連病院だけのサンプルでは検出に十分なサンプルサイズが得難い。このため他研究機関との共同研究を行い、サンプルサイズの拡充を行っている。またp<0.05以下のSNPについては機能解析をおこなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定したサンプルよりも収集量がすくなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
有意な関連をもつSNPの探索が難しいことから、invader試薬やプライマー、プローベが必要となってきているため、こちらに充填して使用していく。
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