研究課題
本研究は、胃がんに対して反復生検した試料をもちいることを基礎に計画された。しかし、まず胃がんの手術検体を用いて単一細胞解析を試みるも線維化が強いなどの影響で解析が困難であった。そのため同じ消化管癌である大腸癌の手術検体を用いた単一細胞解析を試み、一定の成果を得た。しかし大腸癌についても、生検試料を用いた解析は得られる細胞数が少ないことが問題で実現困難であると判断され、手術検体を用いざるをえなかった。手術検体では一人の被験者から反復して試料を得ることは不可能であり、単回の解析で可能なクローナリティ解析として組織内のがん細胞多様性と幹細胞性についての解析を実施した。その結果、患者由来大腸癌組織から得られたCD44陽性細胞に対して幹細胞性を確認し、また、CD44陰性細胞に対して上皮間葉転換を誘導する刺激を与えることで幹細胞性を示唆する形質を獲得することを確認した。この過程にTGFβシグナルが関与していることを示した。一方で、循環血中がん細胞に関する研究は、予定されていた他予算による研究プラットホームの獲得がならず、同様のアイデアを腹水中のがん細胞・非がん細胞の単細胞解析へ移行して実施した。現在までに腹水中のマクロファージが線維芽細胞へ形質転換し、これを癌細胞株とともにマウス異種移植することで腫瘍形成能を高めることなどを確認した。
すべて 2016 2015
すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)