研究課題
若手研究(B)
当初の計画通りCagAの全長をターゲットとし、PCRで増幅、pGEXベクターに挿入し、大腸菌を用いてCagA発現系を確立した。CagA蛋白発発現はウェスタンブロットにて確認した。次にこの組み換えCagA蛋白を抗原とし、固相化したニトロセルロース膜を用いた抗CagA抗体検出用イムノクロマトキットを試験的に10テストキット構築した。テストデバイスには、検体を滴下する検体窓(S)及びテストライン(T)、コントロールライン(C)を確認する判定窓を作製した。判定窓のテストライン上にはCagA蛋白を、コントロールライン上には抗ヒトIgGモノクローナル抗体(マウス)を固相化した。血清抗CagA抗体価の高い血清において良好に判定窓に陽性バンドが出現することを確認できた。ピロリ菌非感染の血清抗CagA抗体陰性の検体ではバンドは確認できなかった。ピロリ菌には感染しているが血清抗CagA抗体がELISAにて陰性と判断された血清ではキットにてバンドを確認できなかった。次にこれまで試験参加への同意を得ている血清を使用し既製のELISA法にて血清CagA抗体価を測定した。この中から陽性コントロール、陰性コントロールを選別し、現在キットの最適化を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りCagAタンパクの精製、ならびにヒト血清を使用したELISAでの血清CagA抗体価測定が順調に進んでいるので。
キットの最適化にてキットの大量生産を行う。次に同意が得られた患者血清を用い、作製したキットで血清CagA抗体が検出可能であるかを検討する。血清における抗体濃度が高いと考えられる場合は、段階希釈を行い、ELISAの結果を最もよく相関する希釈倍率を設定する。疾患ごとのキット陽性率の比較:上記キットの開発の後、疾患ごとのキットの陽性率を検討する。具体的には萎縮性胃炎50例、胃潰瘍20例、十二指腸潰瘍20例、胃癌20例を登録し検討する。それぞれのキットの陽性率に差があるかはカイ二乗検定にて検討し、年齢、性差がある際はロジスティック回帰分析にて多変量解析で検討する。尿中CagA抗体測定キットの開発:血清の抗体検出に成功したのちに、尿中の抗体を検出できるかの検討を行う。東アジア型CagA、欧米型CagAを抗原とするキットの開発:CagAはC末側成分の違いにより病原性の高い東アジア型CagAと病原性の低い欧米型CagAに分けられることが報告されている。キットのテストラインに固相化するCagA抗原の種類を変えることにより、東アジア型CagA陽性菌に感染したものだけをスクリーニングすることも可能となる。本研究ではまず東アジア型CagAの全長を用いてキットを作製するが、CagAのC末側成分のみの蛋白を発現することで東アジア型CagA特異的キット、欧米型CagA特異的キットの開発も可能となる。
今年度はCagAタンパク精製に時間を要し、キット製作費に使用する額が少なかったため。次年度はキットの最適化を行うための大量のCagAタンパク精製のため、PCR用酵素、プライマー合成、クローニング費用が必要である。ならびにキットの最適化を行うためキット自体の作製費も必要である。最適化が終了したのちはキットの大量生産に入るため、さらなるキット作製費を必要とする。またヒト血清を用いキットの有用性も検討する為、ELISAキットの購入も必要である。また、低温型自動O2/CO2インキュベーターの購入を検討している。その他、成果報告のための学会参加費、論文校閲料、投稿料、掲載料、実験補助員のための人件費として使用する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件)
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