研究課題
前年度の結果より、膵癌の臨床検体および細胞株を用いた解析にてARの発現・核移行が治療効果予測・予後寄与因子とならない事が判明。本課題の意義が膵癌では乏しいと考えられ、すでに我々が臨床検体でARの意義を確認・報告した大腸癌で再検証することとした。初年度の解析で明らかにされた因子で、AR核移行による抗癌剤耐性に関連のあると期待されたprotein 'PL2' protein 'PN2'は、大腸癌細胞株においても腫瘍増殖・および浸潤能に影響することがin vitroおよびin vivo実験(xenograft)で確認できた。これら複数の大腸癌細胞株(HCT116, SW480,HT29)を用いて抗癌剤耐性について検証を続けているが、安定細胞株の樹立に時間を要し、抗癌剤に対するin vitroでの耐性の検証が今年度中に完了できなかった。in vivoでの抗癌剤治療効果は次年度に繰り越して行う予定である。この大腸癌研究の一環で、PN2つまりNHERF2をノックダウンした細胞株を用いた腫瘍増殖能について、アメリカEmory University School of Medicine (Division of Digestive Diseases, Chris Yun's Lab)が持っているNHERF2ノックアウトマウスを用いた発癌モデルにおいても、NHERF2のノックアウトが腫瘍増殖に抑制的に働くことを見出すことができた。このin vivoの評価を加え、本メイン研究のサブ解析としてNHERF2自体が大腸癌の癌遺伝子として働く事に着目した論文を作成し投稿、2016年2月に American Journal of physiology Gastrointestinal and Liver Physiology にacceptされた。これとは別にPL2に関する研究においても、Emory Universityが保持しているPL2発現マウス・およびPL2ノックアウトマウスを用いた大腸癌に関する解析もまとめ、現在論文投稿中である。
4: 遅れている
昨年度の結果で膵癌の臨床検体および細胞株を用いた解析にてARの発現が治療効果予測・予後寄与因子にならないという結果を確認。本課題の意義が膵癌では乏しいと考えられ、すでに我々が臨床検体でARの意義を確認・報告した大腸癌に変更し、各種形質導入株の再作成。抗癌剤耐性能の確認に時間を要し、予定された抗癌剤耐性のin vitroでの評価およびin vivoモデルの樹立に予定を超えて時間を要しているため。さらに、ARを選択的に強発現するTet-offシステムを用いた形質導入細胞の樹立に難渋している。これらのため、当初予定されていた最終年度3年目の研究に遅れを生じている。
複数の大腸癌細胞株(HCT116, SW480,HT29)を用いてPL2およびPN2をノックダウンし、抗癌剤耐性について検証を続ける。ARを選択的に強発現するTet-offシステムを用いた形質導入細胞も大腸癌で再度樹立し、PL2、PN2ノックダウン細胞とあわせてin vivoでの抗癌剤治療効果を次年度に繰り越して行う予定である。
本年度の実験が予定通りすすまなかったため、次年度を延長申請し、予算を持ち越して使用する。
安定細胞株の樹立に必要な試薬およびマウスなどの購入に使用する予定。また学会発表における費用にもあてる予定。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol
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