研究実績の概要 |
本年度は腸肝相関の観点から、特に腸内細菌やToll様受容体(TLR)を介した免疫応答・免疫寛容誘導の機序を明らかにした。C57BL/6マウスにCon Aの単回投与、反復投与を行い、免疫応答・免疫寛容を誘導した。急性肝障害時の腸内細菌、TLRの病態への関与を明らかにするためにCon A投与後経時的な、1.マクロファージ、樹状細胞におけるTLR アゴニスト刺激によるサイトカイン産生能、抗原提示能、2.T-RFLP法による糞便中の腸内細菌フローラの解析、3.抗生剤投与による免疫応答・免疫寛容の修飾の有無を検討した。初回投与1,3日後にCon Aを再投与した群では肝障害が増悪するのに対し、7日目以降に再投与した群では肝障害の程度は有意に軽減した。経時的な免疫学的検討の結果、初回投与1日後をピークに肝臓内にCCR9陽性CD11b陽性CD11c陰性マクロファージ分画が増加し、本細胞はTLR2,4,6,9刺激によるTNF-α, IFN-γ産生能、Th1誘導能を有していた。一方、初回投与7日後をピークに肝臓内にCCR9陰性CD11b陰性CD11c陽性cDC分画が増加し、本細胞はTLR9刺激によるIL-10,TGF-β産生能、制御性T細胞誘導能を有していた。興味深いことに、Con A初回投与直前のTLR9アンタゴニスト投与により肝障害は軽減するのに対し、Con A再投与直前の投与により肝障害は増悪し、TLR9の肝臓免疫応答・免疫寛容双方への関与が示唆された。
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