研究実績の概要 |
今年度は、前年度に開発した培養方法で樹立した患者由来のヒト消化器がん(大腸がんおよび膵がん)オルガノイドを用いてHigh throughput screeningを行った. 1st Screeningとしてヒト大腸がん8検体および膵がんのオルガノイド3検体をそれぞれsingle cell化し, Cell Sorterで384 well plateの各ウェルに同数の細胞を播種し、360種類のProtein Kinase Inhibitor (PKI) を添加した。薬添加後3日後, 5日後および7日後に, High Contents Analyzer (In Cell Analyzer 6000)を用いて細胞の撮影および解析を行い、生存細胞のエリアおよび細胞の輝度をカウントし、がんオルガノイドに対する薬剤の効果を統計的に処理した。アッセイ系の質的評価を示すZ’factor (0.5<Z<1)値は0.2~0.7であり, 0.5以下であったアッセイに関しては2回から3回同様のスクリーニングを行った. 続いて, 1st Screeningで効果のあった薬に関して再現性の確認及び、偽陽性ヒットをふるい落とすため, validationを行った. その際,濃度依存性試験を行い8~6 ポイントにふってIC50/EC50や濃度の挙動を確認した。対照として正常上皮細胞オルガノイドを用いる事で、薬剤の毒性を確認した。さらにがんオルガノイドの選択性に関しては正常オルガノイドと比較したIC50 shiftおよびAUC等の指標を用いて、測定基準を設定し解析を行った.ヒト消化器がんオルガノイドの幹細胞可視化に関して,蛍光蛋白レポーターLgr5遺伝子座位へのノックインに成功し、今後, がん幹細胞に特化したHigh Throughputスクリーニングへの発展につなげたがることが期待できる.
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