研究課題/領域番号 |
25860561
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
稲見 義宏 順天堂大学, 医学部, 助教 (70445500)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エントーシス / オートファジー / 癌細胞 / 細胞極性 |
研究実績の概要 |
エントーシスを観察するため、JHH5細胞からオートファジー関連タンパクであるp62をノックアウトした細胞を作製した後、JHH5細胞にGFPをJHH5p62KO細胞にmcherryを恒常的に形質導入した細胞を作製しエントーシスを検討した。作製後、12wellにJHH5 GFP細胞とJHH5p62KO mcherry細胞を5×104 cellずつMIXし培養した後、24時間後より培養室内に設置されているIncCyteTM ZOOMを用い2時間おきに細胞を撮影し観察した。結果、培養開始day2~day4後からJHH5p62KO mcherry細胞がJHH5 GFP細胞をcell in cellのように貪食していることが観察された。また、JHH5 GFP細胞をJHH5p62KO mcherry細胞が遊走し取り囲み、その後貪食する事も観察された。 JHH5細胞とJHH5p62KO細胞を2×105cellずつを1wellに撒きday1・day3・day5と培養した後GFP・mcherry抗体を用いウエスタンブロットにて評価したところ。GFPはday1・day3・day5と発現の低下を認め、mcherryはday1~day5では発現の増強を認めた。JHH5細胞とJHH5p62KO細胞を用いカテプシンLをウエスタンブロットにて評価したところ、JHH5p62KO細胞では強発現していた。 細胞極性蛋白であるpar familyや癌細胞の増殖・浸潤の調節を行うプロテインキナーゼのαPKCの評価をJHH5細胞とJHH5p62KO細胞を用いウエスタンブロットにて評価した。JHH5細胞とJHH5p62KO細胞を用い比較するとαPKCではJHH5p62KO細胞で発現の低下を認めた。αPKCとキナーゼドメインで結合する細胞極性蛋白であるPar3でも発現は低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エントーシスを検討するため、肝細胞株であるTHLE2細胞と肝癌細胞株であるJHH5細胞を用いTHLE2細胞にCell Tracker Green・JHH5細胞にCell Tracker Redを用い染色しエントーシスを観察した。しかし、蛍光顕微鏡で24時間以内のエントーシスの観察困難であった。このため、THLE2細胞にGFP・JHH5細胞にmcherryを恒常的に形質導入した細胞を作製しエントーシスを観察した。 しかし、THLE2細胞GFPとJHH5細胞mcherryを観察前にどの程度オートファジー関連タンパクであるp62が存在するかをウエスタンブロットにて評価したところ、THLE2細胞においても肝癌細胞株であるJHH5細胞と同程度の強発現を認めた。このことからp62が強発現しているTHLE2細胞を用いオートファジーを介したエントーシスを評価することは不適格と考えた。 その後p62ノックアウト細胞の作製やエントーシス観察のため癌細胞に蛍光色素を形質導入した細胞の作製に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、細胞内の細胞極性蛋白とオートファジー関連タンパクの関与を蛍光染色にて評価し、またTet-On発現誘導システムを用いgenograft腫瘍化細胞にての生体内環境適応を標的とした新規治療的アプローチについて模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞作製が遅れたため、p62ノックアウト細胞にTet-On発現誘導システムの作製が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
Tet-On発現誘導システム導入細胞作成後、genograftを行うためのヌードマウス購入に使用。
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