研究課題
本研究において、我々は、プローブ型共焦点内視鏡の本邦初の臨床導入に成功し、すでに49例、80病変を対象にフルオレセイン静脈投与下に共焦点内視鏡観察を行った。その結果、これまでのところ臨床的に明らかな偶発症は認められていない。また、癌は良性腫瘍性病変やその他の非腫瘍性病変やMALTリンパ腫などに比して、腺管構造が不整であること、また、腫瘍の分化度が下がるにつれて腺窩の不整、小型化、窩間部の距離が長くなることなどが明らかになった。特に未分化型癌では腺管構造の荒廃・消失が認められた。さらに、共焦点内視鏡による早期胃癌の診断精度の信頼性や再現性を評価するため、日独の本分野における先進8施設による共同研究チームを立ち上げ、読影者の臨床的背景によって読影精度にばらつきを生じるか検討した。本検討では18例の腫瘍性病変と12例の非腫瘍性病変の通常内視鏡画像および共焦点内視鏡画像を計39名のレビューワーが読影し、その精度を、消化器病医か病理医か、日本の医師かドイツの医師か、共焦点内視鏡や通常内視鏡の習熟度等の読影者の臨床的背景別に比較検討した。その結果、腫瘍・非腫瘍の鑑別診断精度は共焦点内視鏡や病理診断の経験によらず、日本の医師の読影精度がドイツの医師より、消化器病医の読影精度が病理医より優れていることが明らかになった。この結果から、共焦点内視鏡によるリアルタイム組織診断は、共焦点内視鏡の画像分解能は顕微鏡に近いにもかかわらず、静止画を詳細に観察する病理診断よりも通常内視鏡検査の読影に類似していると考えられた。本研究成果は欧州消化器病週間におけるシンポジウムにおいて口頭発表する機会を得た。
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映像情報Medical
巻: 46 ページ: 1346, 1354
細胞
巻: 46 ページ: 174, 177