研究課題
本研究は、炎症性腸疾患の原因遺伝子の候補のひとつであるオートファジーによる炎症制御機構の解明を目的として、臓器特異的オートファジー欠損マウスを作製し、オートファジーによる腸管炎症制御機構を解析した。Cre/loxPシステムによって作成した腸管特異的オートファジー欠損マウスおよび骨髄性細胞特異的オートファジー欠損マウスを用いてマウス炎症性腸疾患モデルであるDSS腸炎を誘発させたが、体重変化や腸の長さおよび病理像などからコントロールマウスと比べ腸炎の程度に差はなかった。これらの結果より、化学物質誘発性の炎症性腸疾患モデルでは、その感受性にオートファジーは関与していない可能性が示唆された。また、骨髄性細胞特異的オートファジー欠損マウスから採取した腹腔内マクロファージをマウス感染性腸炎モデル細菌であるCitrobacter Rodentiumと共培養すると、マクロファージが培養液中に分泌するIL-1β量がコントロールマウスのものに比べ上昇することが明らかとなった。さらに、骨髄性細胞特異的オートファジー欠損マウスより採取した腹腔内マクロファージにC.rodentiumを感染させると、2時間後のマクロファージ中の菌量はコントロールと差がなかったが20時間後の菌量はコントロールに比べ多かった。このことよりオートファジーが欠損したマクロファージでは菌の分解能がコントロールのものと比べ低下していることが示唆された。In vivoでは、骨髄性細胞特異的オートファジー欠損マウスにC.rodentiumを感染させると、体重減少が増悪し、腸管上皮のIL-1βmRNAが有意に上昇した。これらの結果より、骨髄性細胞のオートファジーはC.rodentiumによる感染性腸炎の制御を行っている可能性が示唆された。
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