研究課題
胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease:GERD)患者が増加している中,特に非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease;NERD)においては,その約半数が既存の胃酸分泌抑制剤のみでは症状が治まらず,胸やけ症状に対するUnmet Clinical Needsは高い。本研究ではプロスタグランジン(PG)産生抑制薬であり,かつ非ステロイド性抗炎症薬であるジクロフェナクを用い,各種PGと胸やけ症状を含む上腹部症状との関連を明らかにし,GERD治療に対する新たな治療ターゲットを同定することを目的とした。結果,ジクロフェナクを前投与することで,プラセボ投与群と比較し食道内酸還流に伴う胸やけ症状の知覚開始時間は有意に延長し,胸やけ症状自体の知覚スコアも有意に低下した。またジクロフェナク投与群ではプラセボ投与群と比べ,PGの中でもプロスタグランジンE2(PGE2)レベルが有意に抑制され,そのPGE2レベルと胸やけ症状スコアとの間に有意な相関を認めた。上記結果により,食道内酸還流に伴い食道粘膜から産生されるプロスタノイドのうちPGE2が,胸やけ症状の発現メカニズムに深く関与している可能性が示唆され,PGE2が新たなGERD治療のターゲットとなり得ると考える。今後,中枢神経系でのPGE2の発現の変化を動物実験を用いて検討することで,知覚過敏の病態解明に繋がると考えている。
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