研究課題
若手研究(B)
ESCRT分子のHCVにおける役割を検討するために、まず、HCVとエクソゾームの関連性を検討した。HCV感染細胞の上清を精製し、ショ糖密度勾配遠心にて分画すると、HCVコアタンパクとエクソゾームマーカーであるCD63はほぼ同じ分画に存在した。免疫電顕を用いて観察すると、HCV粒子はmultivesicular body内に存在した。以上のことから、HCVはHrs依存性エクソゾーム経路を介してアセンブリ・放出されていることが明らかになった。次に、ヒト化肝臓マウスにHCVを感染させ、アデノウイルスを用いてHrsをノックダウンする実験系を検討した。pAxCAwtit2ベクターを用いてhuman Hrsをノックダウンするためのアデノウイルスベクターを作成し、293T細胞上でHrsがノックダウンされることを確認した。そこで、マウスにおいてHrsをノックダウンし、HCVの血清中への放出量を検討するために、HCVを感染させたヒト肝臓マウスに対して、hrsに対するshRNAをもったアデノウイルス(1x10^7 PFU)を尾静注した。マウス肝におけるヒトHrsのノックダウン効率はreal-time PCRを用いて確認した。血清中のHCV量をコントロールとHrsノックダウンマウスで比較したところ、ノックダウンマウスにおいてHCV-RNAが減少した。これにより、in vivoにおいてもHrsがHCV感染に重要な役割を果たしていることが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
細胞株を用いて、HrsがHCV放出に必須であることを証明できた。更に、ヒト肝臓マウスにおいてHrsをノックダウンすることが確認でき、血清中のHCVを測定することができたため。
マウスの個体数を増やし、Hrsを機能不全にすることで血清中に放出するHCVが減少することを確認する。有意な差が見られれば、インターフェロンを作用させ、HrsをノックダウンすることでインターフェロンのHCVクリアランスに対する効果が増強するかどうかを検討する。
ヒト化肝臓マウスを用いた実験が予定よりも時間がかかり、予定していた匹数よりも少ないマウスしか必要としなかった。ヒト化肝臓マウス(TK-NOG)を用いて、ヒトHrsをノックダウンし、血清中に放出されるHCV量を計測する。予備実験は既に終えているので、匹数を大幅に増やして試行する。そのために前年度からの繰越金が必要である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
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