研究課題
ESCRT経路に必須の分子であるHrsがin vivoにおいてHCV感染に重要であることを明らかにするために、免疫不全マウスにヒト肝細胞を移植するヒト化肝臓マウスの樹立をおこなった。まず、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ (uPA)をトランスジェニックした免疫不全NOGマウスをもちいて、ヒト化肝臓マウスの作成を試みた。血清中のヒトアルブミン濃度を測定してヒト肝細胞への置換率を検討したところ、10^4 ng/ml程度のアルブミンが検出された。このマウスにHCV株JFH-1を感染させたところ、一過性には感染するものの、長期にわたる感染維持は困難であった。これはヒト肝細胞への置換率が低いためと思われた。次に、アルブミン遺伝子エンハンサー/プロモーター支配下にHSV-TK (Herpes Simplex Virus-1 Thymidine Kinase)を導入したTK-NOGマウスを用いて、ヒト化肝細胞への置換を試みた。ガンシクロビル投与により肝障害を発症させ、正常ヒト肝細胞を経脾臓的に移植した。血清中のヒトアルブミン濃度を測定したところ、10^4-10^6 ng/ml検出され、10^6 ng/ml程度まで検出されたマウスにJFH-1を投与したところ、長期にわたりHCV感染が持続した。ここにアデノウイルスベクターにのせたHrsに対するshRNAを感染させたところ、血清中のHCV-RNAが減少することが明らかになった。また、C型慢性肝炎から発がんする肝細胞癌を解析するために、ヒト化肝臓マウスを発がんさせる経を検討した。ヒト正常肝細胞にレンチウイルスベクターを用いてHRAS, c-Myc, p53DDを導入し、TK-NOGマウスに移植した。一部のマウスでは導入した遺伝子を有するヒト肝組織がマウス肝の中に認められたが、発がんにいたるまでは観察できていない。移植後に長期観察することが必要だと考えられた。
すべて 2014
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Cancer Sci
巻: 105 ページ: 667-674
10.1111/cas.12406