研究課題
本年度では、前年度から継続している、マウスでのIL-6、TGF-β、TNF-αの阻害実験を行った。その結果、これらの分子を発現抑制しても、顕著な肝線維化阻害には至らなかった。それらのことから、TLR4下流の炎症性サイトカインを抑制することは、抗線維化の面からは効率的ではないと考えられた。一方で、リガンド探索では、特にTLR4リガンドとなり得る分子を中心に解析を進めた。血清を使った網羅的解析の結果では、内因性リガンドして複数の候補分子を得た。それらの分子をマウス肝臓から得たマクロファージに作用させたところ、TNF-α、IL-6、IL-8といった炎症性サイトカインの誘導を認めた。加えて、別のHBV感染キメラマウスの血清中とヒトのB型肝炎患者血清においても、内因性リガンドとして上昇している分子を探索し、共通する分子を抽出したところ、4つの候補分子を確認した。外来性リガンドの探索については、マウスの無菌化を試みた。キメラマウスの作成過程の関係で、Germ Freeでは飼育が困難であるため、抗生物質カクテルによる除菌を施したマウスを準備した。現在、このマウスにおける肝線維化の進展を検討している。本研究課題を通して、肝線維化に関わるTLR4経路を中心に、その上流と下流の経路について解析を実施した。TLR4抗体を用いた検討で、肝線維化の抑制が可能であることをin vivoモデルで明らかとした。これらのリガンド分子は、血中での測定も可能となるため、肝線維化の分子マーカーとして利用できる可能性があり、臨床応用を検討する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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