研究課題
細胞-マトリックス相互作用のメディエーターとして機能する特別な細胞外マトリックス分子として,matricellular蛋白の存在が注目されている.テネイシンC(TN-C)は,典型的なmatricellular蛋白で、活動性炎症に伴って一過性に発現し,その発現レベルは心筋炎/心筋症の疾患活動性と相関を示すため、病態診断指標として用いることができるが,その詳細な分子機能は未だ明らかではない.今回は,マウス自己免疫性心筋炎モデルを用いてTN-Cによる炎症の制御メカニズムを明らかにすることを目的とした。マウス自己免疫性心筋炎において、心臓組織中のTN-Cは炎症細胞の浸潤に一致して発現し、炎症細胞の消退に伴って消失していた。次にTN-C 欠損(KO)マウスに心筋炎を誘導したところ、WTと比べて心筋炎が軽減した。特に、KO心筋炎マウスでは心筋に浸潤するTh17細胞の減少、制御性T細胞の増加を認め、ヘルパーT細胞の分化にTN-Cが影響を及ぼして心筋炎を抑制している可能性が示唆された。そこで次に、ヘルパーT細胞の分化に重要な樹状細胞へのTN-Cの作用を検討した。骨髄細胞より作成した樹状細胞にTN-Cを添加すると、Th17細胞への分化に必要なIL-6産生の増加を容量依存性に認め、ナイーブT細胞との共培養実験ではTh17細胞への分化を促進し、制御性T細胞への分化を阻害することが明らかとなった。またこれらの反応はTLR4シグナルを阻害することによりキャンセルされることより、TLR4シグナルを介したTNCのシグナルが樹状細胞からのIL-6産生を促していることが示唆された。
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Journal of American Heart Association
巻: 3 ページ: e001052
10.1161/JAHA.114.001052