研究課題
若手研究(B)
本研究では,ヒト検体でのカテプシンKの発現を確認し,心機能改善度あるいは予後との関連を検討することで,次世代の診断および治療法の開発や拡張型心筋症発症予防への臨床応用に展開するための基盤研究を行うことを目的としている.これに先駆け,心収縮予備能および運動耐容能と心機能改善度および予後との関連を検討した.まず,低用量ドブタミン負荷における心収縮予備能(ΔLVdP/dtmax)は,心肺運動負荷試験における最大酸素摂取量(peak VO2)と有意に相関し,独立した規定因子であることを報告した(Int J Cardiol 2013).さらに,標準的心不全治療のもと,経時的に行った心臓超音波検査による左室駆出率および拡張末期径を評価し,peak VO2は,心収縮予備能を反映し,心不全治療にる逆リモデリングに有用な指標であることを報告した(第19回日本心臓リハビリテーション学会口述採択).また,長期予後追跡調査を行い,peak VO2およびΔLVdP/dtmaxは有用な予後予測因子であることを報告した(ESC Congress 2013ポスター採択).MRI画像における遅延造影像は心筋間質の線維化を反映すると考えられている.拡張型心筋症患者59例の心筋検体を検討し,遅延造影群では心筋間質の線維化が強いことを確認し,ΔLVdP/dtminで評価される拡張障害が強いことを報告した.さらにミトコンドリア酵素関連mRNAを測定し,この知見はミトコンドリア機能障害に基づくことを示した(J Cardiac Fail 2013).本知見は,次年度に予定される検体におけるカテプシンK発現量との関連を検討するうえで重要な基盤となる.
2: おおむね順調に進展している
平成25年度において,申請者らは,拡張型心筋症における左室収縮予備能と運動耐容能の関連および予後・心機能改善度との検討解析を行った.同結果を学会あるいは論文等にて報告した.本研究結果は,次年度に予定されているヒト血液・心筋検体におけるカテプシンK発現量との関連を検討するうえで重要な基盤となりうる.
心収縮予備能・運動耐容能と機能改善度・予後との関連を確認した.平成26年度,ヒト検体でのカテプシンK発現量の検証を開始するとともに,病理学的構造変化あるいは機能変化との関連を検討解析する.本研究遂行により,拡張型心筋症におけるカテプシンK発現と日常臨床における検査所見・予後との関連が明らかになり,同治療の新たな分子ターゲットや病態マーカーになりうることが期待される.
本研究では,ヒト血液あるいは心筋検体を用いてカテプシンKの発現確認を行うが,解析には相当数の検体を要するため,平成25年度では検体の収集・採取を優先し,予後あるいは心機能改善度との解析研究を中心に遂行した.このため,当初予定していたカテプシンK発現量測定時期を次年度へ繰り越すこととなった.平成25年度では検体の収集・採取を優先し,心機能改善度・予後との解析研究を中心に遂行したため,研究計画立案時に予定していたカテプシンK発現量の測定時期を次年度へ繰り越した.平成26年度の早い時期にカテプシンK測定キットを含む各種試薬を購入し,研究を進める.
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