研究課題
若手研究(B)
1)単球選択的ナノDDSの生体内動態の検証炎症性単球を標的とした治療因子の導入のため、当研究室で開発したポリ乳酸グリコール酸(PLGA)ナノ粒子を用いた。FITC封入ナノ粒子(FITC-NP)は培養マクロファージとの共培養により、細胞質への取り込みを認めた。高脂肪食負荷ApoE欠損マウスにFITC-NPを静脈投与したところ、CD11b(+)Lineage Marker (CD90/B220/CD49b/NK1.1/Ly-6G) (-)の末梢血単球の61±13%、脾臓単球の48±9%に、さらには腕頭動脈・動脈硬化巣内のマクロファージに、FITCの取り込みを認めた。プラーク破綻治療に対する炎症性単球(Ly-6Chigh単球)を標的としたナノ粒子を用いたドラッグデリバリーシステム(ナノDDS)を確立した。2) 単球選択的ナノDDSによるLy-6Chigh炎症性単球の炎症制御の検討研究者はピタバスタチンを封入したPLGAナノ粒子(Pitava-NP)を作成した。高脂肪食およびアンギオテンシンII負荷ApoE欠損マウスへの静注1週間後に末梢血の白血球を回収し、Ly-6Cの発現をフローサイトメトリーにて解析したところ、Ly-6Chigh単球の有意な減少を認めた。培養細胞における検討では、Pitava-NPによるLPS刺激に対するMCP-1遺伝子発現抑制効果をReal-time PCR法で確認した。またPitava-NPによるMCP-1に対する単球遊走抑制効果をBoyden Chamber法で確認した。以上から単球に送達されたPitava-NPが単球におけるMCP-1発現、さらにはMCP-1に対する単球の遊走能を抑制し、末梢血への単球の動員を有意に抑制することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の研究計画に従って、1) 単球選択的ナノDDSの生体内動態の検証、および2) 単球選択的ナノDDSによるLy-6Chigh炎症性単球の炎症制御の検討を行った。
平成26年度の研究計画に従ってLy-6Chigh炎症性単球の炎症制御によるプラーク破綻予防効果の検討を行う。当研究室で開発したマウスプラーク破綻モデルを使用し、週1回のPitava-NPの投与により、プラーク不安定化の指標である、(1)プラークの線維膜厚の菲薄化、(2)病変部のマクロファージ浸潤、(3)ゼラチナーゼ活性、さらにはプラーク破綻数に対する効果について検討する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Circulation.
巻: 129(8) ページ: 896-906
10.1161/CIRCULATIONAHA.113.002870.