前年度までに、以下の検討を行ってきた。 1)単球選択的ナノDDSの生体内動態の検証 2)単球選択的ナノDDSによるLy-6Chigh炎症性単球の炎症制御の検討 今年度は以下の検討を行った。 3)Ly-6Chigh炎症性単球の炎症制御によるプラーク破綻予防効果の検討 当研究室で開発したマウスプラーク破綻モデルを使用し、HMG-CoA還元酵素阻害薬、ピタバスタチン封入ナノ粒子(Pitava-NP)の効果を検討した。ピタバスタチン0.4 mg/kg/週相当のPitava-NP静脈内投与は、病理学的プラーク破綻(埋没線維性被膜)の頻度を有意に抑制し、その間病変部の線維性被膜の増厚、マクロファージ浸潤の減少、ゼラチナーゼ活性の低下を認めた。臨床用量と同等のピタバスタチン経口投与0.1 mg/kg/日ではプラーク破綻抑制効果を認めなかった。結果として、Pitava-NPによる炎症性単球の炎症制御が粥状動脈硬化プラーク破綻予防治療となり得ることが示唆された。
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