我々は既存の動脈硬化に対するDPP4阻害剤の効果を検討した。マウスに高脂肪食を12週負荷し、DPP4阻害剤投与群と非投与群の2群とし、8週間治療後に大動脈における動脈硬化領域面積を評価した。非投与群に比べてDPP4阻害剤投与群にて動脈硬化領域は有意に減少した。臨床研究として、冠動脈疾患を合併した2型糖尿病患者においてDPP4阻害剤が内皮機能保護効果を示すかどうか検討した。平均6ヵ月の治療にてHbA1cは従来治療強化群、DPP4阻害剤投与群とも同程度に改善したが、血管内皮機能はDPP4阻害剤投与群にてより有意に改善した。 DPP4阻害剤が心血管疾患への保護的な作用を示す可能性が示唆された。
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