研究課題
若手研究(B)
心臓特異的Phosphodiesterase3A (PDE3A)過剰発現マウスに対して、虚血再灌流傷害モデルを作成し、PDE3Aが抗アポトーシス作用により心筋梗塞領域を縮小させることを見出した。また、単離心筋細胞における低酸素/再酸素化モデルにおいてもPDE3Aが心筋細胞保護効果を持つことを示し、Journal of Molecular and Cellular Cardiology誌に掲載を行った。また、他の心不全モデルで検討を行うため、アンジオテンシンIIの持続皮下投与モデルの作成を行った。アンジオテンシンII投与により、野生型マウスにおいては、心筋肥大、心筋組織線維化の進行が認められたが、PDE3A過剰発現マウスにおいては、心筋肥大、線維化がそれぞれ抑制されていた。その分子機序を探求したところ、心筋肥大、線維化の両方に関わるとされるTransforming Growth Factor-β (TGF-β)の発現が、PDE3Aマウスでは抑制されており、アンジオテンシンII負荷により、野生型マウスではTGF-βの発現が亢進したが、PDE3Aマウスではその亢進が認められなかった。PDE3AとTGF-βの関連については、これまで報告はなく、上記の結果をInternational Heart Journal誌に掲載を行った。今後PDE3AがTGF-βを抑制する機序について、検討を進めて行く予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的通りに虚血再灌流障害、アンジオテンシン負荷心不全モデルを作成し、PDE3Aが心保護効果を持つ事を示すことができ、論文掲載を行う事が出来た。また、現在心筋梗塞モデル等においても心保護効果を検討中である。アンジオテンシン負荷に対する単離心筋細胞での検討は2014年度に施行していく予定である。
心筋梗塞モデルなど他の心不全モデルにおいてもPDE3Aの心保護効果を検討していく。また、TGF-βは線維芽細胞からも分泌されているため、単離心筋細胞を作成することで心筋特異的な反応か、線維芽細胞からのTGF-βのパラクリン作用をPDE3Aが抑制しているのかどうか検討を加えて行く。
実験スケジュールの都合上、平成25年度に実施することが困難となった実験があり、その実験内容は平成26年度に行う予定としたため。平成26年度前半に繰り越しを行った実験を行い、当初の予定を遂行する計画です。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (21件)
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