研究課題
心臓特異的Phosphodiesterase3A (PDE3A)過剰発現マウスに対して、イソプロテレノールによる心筋酸化ストレスモデルを作成し、PDE3Aが酸化ストレスに対して心臓保護的に働くことを見出した。イソプロテレノール刺激により野生型マウスでは、心臓超音波検査での心室壁厚が増加しており、心筋組織の肥大、心重量の増加が認められたが、PDE3Aマウスにおいては、心筋肥大の進行は認められなかった。また、心筋アポトーシスの関与を調べるためにTUNEL染色を行ったところ、野生型マウスではイソプロテレノール刺激によりTUNEL陽性心筋細胞の増加が認められたが、PDE3Aマウスでは増加は認められなかった。酸化ストレスの関与を調べるために8-OHDG免疫染色を行ったところ、心筋での8-OHDG陽性領域、すなわち酸化ストレスによるDNA傷害領域は野生型マウスではイソプロテレノール刺激により増加していたのに対して、PDE3Aマウスでは、増加は認められなかった。しかし、Vehicle群のPDE3Aマウスにおいても8-OHDG陽性領域は野生型マウスよりも広く認められているため、PDE3Aマウスには潜在的なDNA傷害が生じている可能性は否定できなかったものの、イソプロテレノールにより惹起される酸化ストレスに対してPDE3Aは保護的に働くことが示唆された。その機序について検討するためSirt1タンパクを調べたところ、PDE3Aマウスでは野生型マウスよりもSirt1タンパクの発現が亢進しており、そのためイソプロテレノール刺激による酸化ストレスに対する心保護効果がPDE3Aマウスで認められるものと考えられた。
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International Heart Journal
巻: 55 ページ: 165-168
10.1536/ihj.13-268