研究課題/領域番号 |
25860617
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
黒川 早矢香 日本大学, 医学部, 専修医 (60439130)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電気的リモデリング / 酸化ストレス / Semaphorin 3A |
研究実績の概要 |
本研究は酸化ストレスによる心筋の電気的リモデリングや不整脈基盤の形成についての機序の解明と、これに対する治療介入として胎生蛋白制御因子Semaphorin 3A(Sema3A)による逆リモデリングにより心筋の電気的再生療法への道を切り開くことを目的としている。これまでに、過酸化状態の心筋を評価するモデルとしてL-buthionine-sulfoximine(BSO)投与心筋/骨格筋特異的superoxide dismutase 2ヘテロ欠損マウス(H/M-Sod2+/-)モデルを作成し、BSO投与H/M-Sod2+/-マウスでは心筋でのO2-やH2O2の過剰状態により電気的リモデリングが生じることを明らかにした。本研究により、Kv4.2のみならずKChIP2の発現低下によるItoの低下が過酸化状態での電気的リモデリングに関与することを示し、昨年度投稿を行った研究論文は本年度Circulation Journal誌にアクセプトされ、掲載された(Circ J 2014; 78: 1950-9)。 研究継続のため今年度は所属施設の移籍を行い、新施設での研究環境の整備にあたった。新施設での実験申請の準備や電気生理学的評価を行うための機材確認を行った。 残存した課題として、酸化ストレスにより生じる電気的リモデリングに対するSema3Aの治療効果を検証するため、次年度にはSema3A投与モデルでの電気生理学検査や生化学的評価を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
過剰酸化ストレスによる電気的リモデリングについては研究成果を論文報告の形で発表することができたが、前所属機関では所属長の交代により研究継続が許可されなかった。研究課題の継続のため本年度は所属施設の移籍を行い、新施設での研究環境の整備にあたったが、Sema3Aの導入による治療介入の段階には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は現所属機関にてSema3A投与モデルを含めた電気生理学的評価を行い、有効不応期・単相性活動電位持続時間・不整脈誘発性の変化を検討する。電気生理学的変化の背景を探るため、心筋のイオンチャネルの発現の変化をリアルタイム RT-PCRやWestern blot法にて評価する。 さらに実験モデルの心筋の構造的・機能的評価のためHE染色や心エコー図を施行する。また、Sema3Aの心筋での発現の変化を免疫染色にて確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の段階では前所属機関での遂行が許可されていた本研究課題は、前所属機関所属長の交代により本年度以降の研究継続の許可が出されず、前所属機関での実験遂行が困難となった。このため、研究課題の継続のためには現所属機関に移籍して新たに実験環境の整備を行うことが必要だった。 本年度は現所属機関での実験機器の確認や実験申請の準備を行うことが優先されたため、本年度の予定額を下回る使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は実験環境の整備に新たな機器購入を含む高額の出費が予定されるため、本年度の残額を繰り越して使用する。
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