心筋梗塞(myocardial infarction: MI)後の梗塞部におけるinterleukin (IL)-33の遺伝子発現をqPCRで測定したところ、有意な上昇が認められた。また、flow cytometryによる解析でIL-33ののほとんどが梗塞部の線維芽細胞で発現していることが明らかとなった。IL-33の受容体として知られるST2の発現をMI後時系列で解析すると、心筋細胞とともに、CD11b+ マクロファージがST2の主な発現細胞であり、主に3-7日目に増加していた。 IL-33ノックアウトマウス(KO)を用いてMI後の生存率と心筋梗塞後創傷治癒過程を野生型(WT)マウスと比較した。その結果、IL-33KOマウスにおいて生存率は改善傾向にあり、心破裂の発症頻度もWTマウスと比較して少ない傾向にあった。またMI後の心機能に関してもIL-33KOマウスにおいて改善傾向にあった。一方、WTマウスにrecombinant IL-33 (rIL-33)を投与すると、MI後の生存率が低下傾向にあった。梗塞部における炎症性サイトカイン、matrix mataroproteinaseの発現を検討したところ、IL-33KOマウスではWTマウスと比較して低下傾向であることが明らかになった。Flow cytometryにおいて、MI後6日目の梗塞部の浸潤細胞を検討すると、IL-33KOマウスにおいてCD45+ CD11b+ F4/80+ CD206- M1マクロファージの割合が少なく、一方でCD45+ CD11b+ F4/80+ CD206+ M2マクロファージの割合が増加していた。以上より、IL-33はMI後梗塞領域の線維芽細胞よりIL-33の発現が誘導され、心筋細胞、あるいは骨髄由来細胞に作用することで心筋梗塞後創傷治癒過程に関与している可能性が示唆された。
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