研究実績の概要 |
該当するMVO合併HCM症例30例に対しインフォームドコンセントを得て、遺伝子解析用サンプリング採血および心電図、ホルター心電図、心エコー検査、心臓MRI検査、心臓カテーテル検査の各所見を登録した。 末梢血よりDNAを抽出後、既知の心筋関連原因遺伝子67種について イオン トレント PGM システムを用いてマルチプレックスPCR,アダプターを結合しライブラリーを作成し、シークエンス反応を行った。得られたリードデータはトレント スイートを用いて、ヒト対象配列にMapping 後、変異を抽出し、さらにCLC ゲノミック ワークベンチを用いて既存の国内外の複数の健常データベースとの対比による絞り込みアノテーション付けを行いその後、サンガー法によるシークエンスの確認。さらに変異データベースと対比し、複数のIn-silico 解析による機能変化予測を行い変異を同定した。変異の同定された症例に関しては、臨床病型との因果関係の解析並びに遺伝子の家系内解析を行った。 遺伝子解析の結果全体の35%に変異を同定。同定された変異のうち、すでにHCMの原因遺伝子として報告されている変異はサルコメア変異のミオシン結合タンパクCとライソゾーム変異のαガラクトシダーゼの2例のみであった。その他見出された6つの変異はすべて新規原因遺伝子上の変異でありデスモプラキン、プラコグロビン、TMEM43、インテグリンキナーゼ、PRDM16、ネブレットはいずれもHCMの原因遺伝子としての報告はなく、DCM,ARVC,LVNCの原因遺伝子での変異であった。 通常HCMに高頻度で認めるサルコメア変異はミオシン結合タンパクのみで全体の6%、HCMでは報告されたことがない他の表現系の心筋症原因遺伝子での新規変異を24%に認めた。
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