研究課題
本邦における奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症に対し、負荷エコーを多施設にて実施し、68症例のエントリーが終了し、平均16か月の予後調査を行った。先行研究から負荷中の弁口面積(projected AVA)を用いて真と偽の大動脈弁狭窄症の層別化を行った。全症例のうち、真の高度狭窄症例は32名(47%)と、欧米の報告と比較してその割合は低かった。追跡期間中、35名に心血管イベントが発症した(8名の心臓死を含む)。Coxハザード解析を行い、projected AVAは独立した予後予測因子であった。(ハザード比:9.26)またKaplan-Meyer曲線においてもprojected AVAを用いて予後の層別化は可能であった。我々の先行研究において、本邦における奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症は欧米と比較して予後良好であると報告したが、今回の結果は、真の大動脈弁狭窄症の割合が欧米と比較して低く、それを裏付けるものと考えられた。今回の結果から負荷心エコーは奇異性低流量低圧較差大動脈弁狭窄症において予後層別化に有用な検査方法であることが示されたが、現在安静時エコー検査が真の大動脈弁狭窄症を予測することが可能であるかどうかの検証を加えている。特に今回は3Dエコーを用いているという特徴を活かし、3Dスペックルトラッキング法を用いて検討している。現在論文作成を同時に進めており2016年中の投稿を予定している。
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Journal of Cardiology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.jjcc.2016.01.015