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2013 年度 実施状況報告書

心筋梗塞における心筋細胞保護の分子機構解析と治療

研究課題

研究課題/領域番号 25860628
研究種目

若手研究(B)

研究機関久留米大学

研究代表者

馬渡 一寿  久留米大学, 医学部, 助教 (00461434)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードSprouty4
研究概要

Ras-Raf-ERKキナーゼ経路の負の制御因子であるSprouty4のマウス心筋梗塞組織における発現の時間経過をreal-time PCRで調べた。梗塞3時間後に梗塞前に比べSprouty4は約5倍に発現が上昇し、梗塞24時間後まで発現増加は持続していた。ERK1/2のリン酸化をwestern blotで調べたところ、ERK1/2のリン酸化はSprouty4の発現と逆相関を示した。これらの結果は、心筋梗塞の急性期の病態におけるRas-Raf-ERKキナーゼ経路の活性化がSprouty4によって制御されることを示しているのかもしれない。Sprouty4の発現が亢進する時期は、炎症反応や酸化ストレスの増強と共に心筋細胞がアポトーシスを起こす。そこで、心筋梗塞組織における炎症関連遺伝子、酸化ストレス関連遺伝子のreal-time PCRアレイおよびTUNEL染色を行った。その結果、心筋梗塞急性期に、多くの炎症性サイトカインやケモカイン、酸化ストレス関連遺伝子の発現上昇を認めた。また。梗塞6時間後にTUNEL陽性細胞が観察された。これらの結果より、Sprouty4は、心筋梗塞の病態における炎症機転、酸化ストレス障害やアポトーシスによる心筋細胞死に関わる可能性があると推測された。今年度は、Sprouty4遺伝子欠損マウス(Sprouty4-KO)を繁殖させ準備を進めた。心エコー検査を無処置のSprouty4-KOマウスに行ったところ、左心室壁の厚さは正常範囲で左心収縮のうも正常に保たれ、奇形も観察されなかった。また、Sprouty4-KOマウスの心臓組織のHE染色、AZAN染色、EVG染色などを行ったが、心筋組織や血管など特に異常は認めなかった。これらの結果より、Sprouty4遺伝子は心臓の発達や機能には特に影響しないものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の目的は、Ras-Raf-ERKキナーゼ経路の負の制御因子であるSprouty4の虚血心筋障害・心筋保護機構における役割を明らかにし、Sprouty4が虚血心筋障害の治療標的でることを検証することである。Sprouty4遺伝子のreal-time PCRとwestern blot によるERK1/2のリン酸化の実験より、Sprouty4は心筋梗塞急性期に発現が上昇し、Sprouty4の発現とERK1/2の活性化が逆相関することから、Sprouty4が、確かに、急性心筋梗塞の病態におけるRas-Raf-ERKキナーゼ経路の活性制御に関与していることが示唆され、Sprouty4-KOマウスを用いた実験を行う意義があると考えられた。定常状態において、Sprouty4-KOマウスの心臓は組織学的にも生理学的にも異常を認めなかった。しかし、急性心筋梗塞の病態のようなRas-Raf-ERKキナーゼ経路活性化されるときに、Sprouty4-KOマウスにおいて炎症反応や、酸化ストレス障害や心筋リモデリングがどのように影響されるか非常に興味深いと考えられる。

今後の研究の推進方策

遺伝子改変マウスの飼育管理費用、生化学もしくは分子生物学的な消耗品、学会の交通費と宿泊費、論文校正費用などに使用する予定である。

次年度の研究費の使用計画

試薬、実験動物等の物品費が想定より安価であったため。
今後試薬、実験動物等の物品費の増加が見込まれる

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公開日: 2015-05-28  

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