研究概要 |
心臓病変を疑わせる症状を認めない心臓外サルコイドーシスの症例を対照として遅延造影心臓MRIを施行したところ、約13%の症例で陽性所見を認めた。さらに、遅延造影陽性所見の独立した予測指標として、心臓超音波検査における心室中隔壁の菲薄化があげられた。しかしながら、心臓MRIで遅延造影が認められた症例が必ずしも有害事象を高率で発症するわけではないことも明らかになりつつあり、この結果を共同研究施設である慶應義塾大学との共同研究成果として、国際学術誌に報告した(Nagai T, et al. Chest 2014, original article, in press)。今回心臓MRIにおける遅延造影が陽性になった症例の予後が比較的良好であった理由として、遅延造影の範囲が狭かったことが予想され、今後は遅延造影の定量法を駆使し、心臓超音波検査における心室中隔壁の菲薄化、心臓MRIにおける遅延造影範囲の進展、そして将来的な有害事象の関連についても詳細に調査する予定である。さらに、今後の研究を発展させる上で、心臓サルコイドーシスに対するステロイド治療と最新の画像診断の有効活用という観点で、現在進行中の前向き観察研究のみならず、後ろ向きの基礎データの追加解析も必要になり、現在国内でも過去に最多の心臓サルコイドーシス症例を有する当施設における後ろ向き解析も平行して行っており、多面的なアプローチが実現している。将来多大な臨床的意義をもたらす可能性のある研究プロジェクトとして順調に進行中である。
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