本研究課題では、肺高血圧症の発症・進展におけるthrombinシグナル伝達の役割を明らかにすることを目的として、肺高血圧症症例から得られた肺組織と肺動脈平滑筋細胞を用いて検討を行った。その結果、肺高血圧症症例の肺動脈平滑筋細胞ではthrombinの受容体protease activated receptor 1 (PAR1)の発現が亢進していること、肺血管リモデリングの進展にはthrombin /PAR1を介したAkt/mTOR経路やp38MAPキナーゼ伝達経路の活性化が重要な役割を担っていることが明らかとなった。従って、これらのシグナリングが肺高血圧症の新たな治療標的となる可能性が示された。
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