• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

気管支喘息におけるプロトン感知性受容体のOGR1の役割

研究課題

研究課題/領域番号 25860635
研究種目

若手研究(B)

研究機関群馬大学

研究代表者

青木 悠  群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (80447268)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード気管支喘息 / 樹状細胞
研究概要

Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1;OGR1はプロトン感知性受容体として報告されている。炎症局所では細胞外pHが低下していると考えられる気管支喘息においてOGR1の機能を解析した。卵白アルブミンと水酸化アルミニウムゲルの腹腔内投与、卵白アルブミン吸入による感作によって作製した喘息モデルを用い検討した。メサコリンに対する気道抵抗(無麻酔下noninvasive(Penh)法,麻酔下invasive法)では、OGR1野生型に比してOGR1KOマウスでは減弱が認められた。気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総細胞数、好酸球、リンパ球数、杯細胞の過形成の程度もKOマウスで低下していた。Th2系サイトカインであるIL-4,IL-5,IL-13の減少を認めた。これらの結果から病態の鍵となる樹状細胞に着目し、OGR1の役割について解析を行った。マウス骨髄単球を採取し、GM-CSF,IL-4下で培養を行い、樹状細胞を作製した。樹状細胞にはmRNAレベルでOGR1が発現していることが分かった。樹状細胞の重要な機能の一つである遊走能について検討した。OGR1WTマウスもしくはKOマウス骨髄由来の樹状細胞を作製し、気管内に移植後、OVAによりチャレンジを行うと、KOマウス骨髄由来樹状細胞移植群では気道過敏性、気道炎症の減弱が認められた。移植する樹状細胞をCFSEによりラベルし、気管内移植後、傍気管リンパ節を採取して遊走する樹状細胞数をフローサイトメトリー法で検討した。傍気管支リンパ節への遊走能はKO由来樹状細胞群で低下を認めた。以上より、OGR1KO喘息モデルマウスにおいて気道過敏性と気道炎症が抑制され、その機序として樹状細胞が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

OGR1ファミリー欠損マウスを用いた気管支喘息モデルのin vivo解析については終了しており、現在はマウス骨髄由来樹状細胞を用いた抗原提示能のin vitro解析を行っている。現在のところ遊走能について結果を得ているが、樹状細胞のその他の機能である抗原取り込み、プロセシング能、T細胞への抗原提示能について解析していく予定である。

今後の研究の推進方策

樹状細胞に発現しているOGR1の機能解析を進めるとともに、OGR1を介した免疫応答を調節するシグナル伝達経路について解明する。OGR1はGq タンパク質共役型受容体であるため、Gq タンパク質機能抑制剤を用いて、OGR1を介した免疫応答がGqタンパク質を介したものであることを確認する。また、他のシグナル伝達経路阻害剤を用いることで、さらに詳細にシグナル伝達経路の解析も行う。さらに、免疫応答に関わる細胞内のシグナル分子の活性 (カルシウム、cAMPなど) 変化も解析する。

次年度の研究費の使用計画

樹状細胞の機能解析を進めているが、すべての解析が終了していないこと、既存の試薬などで解析が進められたこと、また大学内の共用施設を用いて研究を進められたことが理由である。
樹状細胞の更なる機能解析のために、リンパ球など他の免疫担当細胞の分離、培養が必要となるため、これらの解析に使用したい。また、フローサイトメトリー法による表面マーカーの解析も進めるため、これらに必要な試薬を購入したい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Proton-sensing ovarian cancer G protein-coupled receptor 1 on dendritic cells is required for airway responses in a murine asthma model.2013

    • 著者名/発表者名
      Aoki H, Mogi C, Hisada T, Nakakura T, Kamide Y, Ichimonji I, Tomura H, Tobo M, Sato K, Tsurumaki H, Dobashi K, Mori T, Harada A, Yamada M, Mori M, Ishizuka T, Okajima F.
    • 雑誌名

      PLOS one

      巻: 8 ページ: e79985

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0079985. eCollection 2013.

    • 査読あり
  • [学会発表] 気管支喘息モデルにおけるプロトン感知性受容体OGR1の役割2014

    • 著者名/発表者名
      青木 悠、茂木千尋、久田剛志、古賀康彦、小野昭浩、関 香織、矢冨正清、上出庸介、鶴巻寛朗、西岡正樹、土橋邦生、森 昌朋、石塚 全、山田正信、岡島史和
    • 学会等名
      第26回日本アレルギー学会春季臨床大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      20140509-20140511
    • 招待講演
  • [学会発表] Relevance of Hemoglobin A1c and Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease2014

    • 著者名/発表者名
      Haruka Aoki, Takeshi Hisada, Yasuhiko Koga, Akihiro Ono, Hiroaki Tsurumaki, Yosuke Kamide, Masaki Nishioka, Kunio Dobashi, Tamotsu Ishizuka, Masanobu Mori
    • 学会等名
      第54回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      20140425-20140427
  • [学会発表] Proton-sensing OGR1 on dendritic cell is required for airway2014

    • 著者名/発表者名
      青木 悠、茂木千尋、久田剛志、砂長則明、古賀康彦、小野昭浩、解良恭一、上出庸介、関 香織、矢冨正清、鶴巻寛朗、小竹美絵、西岡正樹、笠原礼光、土橋邦生、山田正信、石塚 全、岡島史和
    • 学会等名
      第54回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      20140425-20140427
  • [学会発表] プロトン感知性受容体OGR1の気管支喘息における役割2013

    • 著者名/発表者名
      青木 悠、茂木千尋、久田剛志、鶴巻寛朗、上出庸介、中倉 敬、笠原礼光、西岡正樹、関 香織、矢冨正清、小野昭浩、古賀康彦、土橋邦生、石塚 全、山田正信、岡島史和
    • 学会等名
      第63回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ(東京)
    • 年月日
      20131128-20131130
  • [学会発表] Relevance of Hemoglobin A1c and Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease2013

    • 著者名/発表者名
      Haruka Aoki, Takeshi Hisada, Masakiyo Yatomi, Hiroaki Tsurumaki, Reiko Yoshino, Kunio Dobashi, Tamotsu Ishizuka, Masatomo Mori, Masanobu Yamada
    • 学会等名
      ERS Annual Congress 2013
    • 発表場所
      バルセロナ(スペイン)
    • 年月日
      20130907-20130911
  • [学会発表] COPD急性増悪とHbA1cの関連性について2013

    • 著者名/発表者名
      青木 悠、久田剛志、石塚 全、鶴巻寛朗、関 香織、矢冨正清、上出庸介、桑原英眞、土橋邦生、森 昌朋
    • 学会等名
      第53回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京)
    • 年月日
      20130419-20130421

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi