研究課題
若手研究(B)
GFR変異肺癌細胞株において、PCR法を用いてBIM遺伝子多型の有無について解析したところ、既に報告されていたHCC2279細胞の他に、日本人の肺癌組織から樹立された細胞株であるPC-3細胞もBIM遺伝子多型をヘテロ接合型で有することを明らかにした。これらBIM遺伝子多型を有する肺癌細胞株がEGFR-TKIによるアポトーシス誘導に抵抗性であることをwestern blot法、アポトーシスアッセイキットを用いた活性化Caspase-3/7の定量で確認した。これらBIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺癌細胞に対してEGFR-TKIとHDAC阻害薬であるボリノスタットを併用するとアポトーシス誘導能を有する活性型のBIMタンパク発現が上昇し、アポトーシス抵抗性を克服できることをin vitroの検討で明らかにした。マウス皮下移植モデルを用いてEGFR-TKIとボリノスタットの併用効果を検討したところ、in vitroの検討と同様にEGFR-TKIにボリノスタットを併用することでアポトーシスが促進され、PC-3皮下腫瘍に対して著明な腫瘍縮小効果を認めた。現在、ボリノスタット以外の新規HDAC阻害薬による効果についても検討を続けており、ボリノスタットよりも薬力学的効果の強い薬剤を見出し、有効性と安全性の評価をしている。さらに、HDAC阻害薬によるBIM発現上昇のメカニズムについて解析し、より有効性の高い治療薬の探索を行っている。また、EGFR変異肺癌患者から採取し保存された血清を用いてBIM遺伝子多型の有無を解析し、EGFR-TKIの治療効果との相関性について検討をするべくIRB審査の手続きを進めている。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的であるBIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺癌に対して、HDAC阻害薬をEGFR-TKIに併用することでアポトーシス抵抗性を克服できることを非臨床の検討において明らかにできた。さらに、より有効性の高い薬剤の探索も予定通り進んでいる。また、臨床検体を用いた検討についても多施設共同で実施できるよう準備が進んでいる。
現在有効性が明らかにできているHDAC阻害薬のボリノスタット以外で、より有効性の高い薬剤を用いたin vivo試験を実施し、生体における有効性と安全性を評価する。ヒト臨床検体を用いてBIM遺伝子多型の有無とEGFR-TKI治療効果の相関について解析を進め、EGFR-TKI耐性のバイオマーカーとしての意義を確立する。
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