研究課題
本研究の目的は、(1)既存の肺組織および気管支肺胞洗浄液(BAL)を用いて網羅的なマイクロRNA解析を行い、特発性線維症に疾患特異的なマイクロRNAを同定する、(2)急性増悪患者の血液検体、BALF検体を前向きに集積し、急性増悪に特異的なマイクロRNAを同定することである。(1)既存の慢性間質性肺炎の肺組織、BAL検体のうち、特発性肺線維症と抗ARS抗体症候群に伴う間質性肺炎を対象にメッセンジャーRNAレベルでの遺伝子発現の網羅的解析を行った。肺組織検体を用いた検討では、2群間で発現に有意な差を認める遺伝子を同定できなかった。BAL検体を用いた検討では、特発性肺線維症では細胞増殖に関連した遺伝子群、抗ARS抗体症候群ではTリンパ球に関連した遺伝子群の発現が亢進しており、これらの結果はクラスター解析、GO解析など複数の解析法を用いても同様であった。とくに2群間で発現差の大きかったLRRN3、CXCL13、TNFSF4(OX40L)を対象にRT-PCRによる定量評価を行っており、今後、学会発表、論文執筆を予定している。これらの遺伝子発現の違いを反映した、特発性肺線維症と抗ARS抗体症候群の長期予後の違いを検討し、米国胸部疾患学会2015年で発表のうえで論文化を予定している。同様の検体を用いて、マイクロRNAの網羅的解析も進行中である。(2)特発性肺線維症を含む特発性間質性肺炎の急性増悪に関して、診断時の画像での左右差が予後因子となることを明らかにし、欧州呼吸器学会2014年での発表を経て、論文投稿中である。診療状況の変更により急性増悪患者の検体集積は予定通りに進まなかったが、既存の慢性期検体の解析から、急性増悪や予後の予測因子を探索中である。
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