研究課題/領域番号 |
25860644
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早稲田 公一 岡山大学, 大学病院, 助教 (10648059)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | RAGE |
研究概要 |
RAGEが気道炎症および気腫化に必須であるかどうかを証明するため、RAGEを全く発現しないRAGE KO マウスを用い、PPE投与後にCst(static lung compliance:静肺コンプライアンス)、気道炎症、気管支肺胞洗浄中(BAL)のサイトカインレベルを測定し、また肺組織の評価を行うことにより、コントロールの野生型マウスとの比較検討を行った。 メスのC57BL/6マウスおよびRAGE knock out(RAGE KO)マウスに対し、day0に経気道的にPPEを投与することにより肺気腫モデルを作成し、申請者らが以前報告した方法(Waseda K et al. Am J Respir Cell Mol Biol. 2011;45:851)を用いて気道炎症、静肺コンプライアンス(Cst)、肺組織およびBAL液中の炎症細胞数の評価、好中球関連ケモカインと炎症サイトカインの測定をday1, day4およびday21に行った。このモデルにおいて、経気道的にPPEを投与された野生型マウスはday4にBAL液中の総細胞数および好中球数の増加を認め、また、KC,MIP2などの好中球関連ケモカインの増加、IL-1βやTNF-αなどの炎症サイトカインの上昇を認めた。また、PPE投与後day21に気腫化を生じ、Cstの上昇、肺組織の評価によるMLIの増加を認めた。野生型(RAGE+/+)マウスに比べ、RAGE KO(RAGE-/-)マウスはPPE投与後、day4においてBAL液中の総細胞数および好中球数の低値を示した。また、PPE投与後day21において野生型マウスに比べ、RAGE KOマウスはCstの低値を示し、RAGEが欠損するとPPE惹起の気道炎症およびその後の肺気腫進展が抑制される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PPE惹起の気道炎症、気腫化に対するRAGEの重要性を検証した。BAL中および肺組織中の好中球関連ケモカインであるKC、MIP2、IL-1β、TNF-α、およびIL-17の濃度をELISAで測定したところ、RAGE KOマウスでは野生型マウスに比較し、上記ケモカイン、サイトカインの数値が優位に低下していた。 気道炎症および気腫化が生じている気道局所においてRAGEの発現が増加しているかどうかを、野生型マウスに経気道的にPPEを投与したのち、免疫染色にて評価した。野生型マウスではRAGE KOマウスに比較しRAGEの発現が増加していた。
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今後の研究の推進方策 |
PPEにより惹起されたマウス肺気腫モデルを用いてsRAGE投与による気道炎症、気腫化の抑制効果を詳細に検討する。野生型マウスに経気道的にPPEを投与したのち、day1, day7およびday14にsRAGEを投与し、気道炎症、Cst、肺組織およびBAL液中の炎症細胞数、好中球関連ケモカインと炎症サイトカインをday1, day4およびday21に測定して気道炎症、気腫化の抑制効果を評価する。また、PPEを投与した野生型マウスに、day21, day28にsRAGEを投与し、day35にCstおよび肺組織の評価を行い、sRAGEの投与により、完成した肺気腫を改善させることができるかを評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験施行回数の減少のため試薬代・マウス代が予定より少なく済んだこと、および参加予定であった学会に出席できなかったため。 実験の回数・内容の見直し、学会への出席を積極的に行う。
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