研究課題/領域番号 |
25860645
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩本 博志 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60457398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間質性肺炎 / バイオマーカー / 肺胞上皮 |
研究概要 |
特発性肺線維症、非特異性間質性肺炎(NSIP)、急性過敏性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者および健常対照者における血清中sRAGE(soluble receptor for advanced glycation endproducts)値を測定したところ、特発性肺線維症およびNSIPでは血清sRAGE値が低下しており、急性過敏性肺炎では上昇していた。COPD患者では健常対象者と比較して血清sRAGE値が低下していた。さらに特発性肺線維症患者における予後と血清sRAGE値について検討したところ血清sRAGE低値が予後不良と関連しており、血中sRAGEが特発性肺線維症の新規バイオマーカーとして有望であることが示唆された。血清中のesRAGEについても同様の検討を行い、急性過敏性肺炎ではsRAGEと同様上昇しており、他の疾患および対照群では有意差を認めなかった。気管支肺胞洗浄液(BALF)中のRAGE,esRAGEについても測定を行い、急性過敏性肺炎ではRAGE、esRAGEともに特発性肺線維症とNSIP患者と比較して上昇傾向であった。続いて血清およびBALF中のHMGB1(high mobility group box 1)の測定を開始しており近日中に終了予定である。 膠原病肺、慢性過敏性肺炎患者における血中sRAGE、esRAGEの測定およびこれらの患者の血清HMGB1についても進行中である。特発性肺線維症以外の間質性肺炎の患者においては今回検討している患者群では概して予後良好でありエンドポイントとして用いることが困難であると考えられた。そのためCT所見や可能な症例では経年的な肺機能の変化など他のエンドポイントについて検討を行う準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血清、BALF中のバイオマーカー測定はほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
【肺組織におけるRAGEならびにその関連分子の発現の検討】特発性肺線維症、非特異性間質性肺炎、過敏性肺臓炎患者、慢性閉塞性肺疾患、健常人の肺組織検体におけるRAGEの発現について組織切片の免疫染色、morphometry(Image-Pro Plus使用)により病型ごとの発現の特徴を明らかとする。 【肺のCT画像所見の検討】HRCT画像所見における線維化所見、網状影、すりガラス陰影をスコア化し、血中BALF中および肺組織のRAGEとの相関について検討する。 【RAGEと既存のバイオマーカーの関連の検討、RAGEリガンドとの関連の検討】RAGEと既存のバイオマーカーであるKL-6、SP-A、SP-Dなどについて、血中およびBALF中の濃度の比較や背景因子との相関関係の違いを検討し、相違点を明らかとする。 【RAGEのSNPと間質性肺炎の関連の検討】ゲノム血が保存されている日本人約700症例(間質性肺炎、肺癌、健常人)におけるRAGE遺伝子多型rs2060700を全血よりゲノムDNAを抽出し,リアルタイムPCR system (Applied Biosystems PRISM 7500)を用いて検討する。血清中RAGEならびにその関連分子値、BALF中RAGEならびにその関連分子値とrs2060700の関連、間質性肺炎の疾患感受性ならびに予後とrs2060700の関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
条件検討施行中のELISAキットについては1キットのみ購入し、その結果余った予算については平成26年度に繰越した。 条件検討終了後ELISAキットを購入予定である。
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