研究課題
昨年度までの検討から更に対象症例を増やし、IPF患者87名と健常コントロール303名を対象として検討をおこなった。まずRAGEの7つのTag SNPについての検討をおこない、rs2070600のジェノタイプがIPFの疾患感受性と関連していることを見出した。その他のTag SNPについては有意な相関を認めなかった。次に上記対象のうち血清検体が検討可能なIPF患者79名と、対照群として健常コントロール120名について血中sRAGE値の測定をおこなった。sRAGE値はIPF患者において健常コントロール群と比較して有意に低下していた。さらにsRAGE値に影響する因子を明らかにするために多変量解析をおこない、rs2070600とIPFであることが共に独立した予測因子であることを明らかとした。sRAGEによるIPF患者の5年生存率の予測能について検討をおこなった。まずROC曲線を用いてカットオフを算出し、Kaplan-Meier曲線を用いて検討したところ、sRAGE低値群は高値群に比べて有意に予後不良であった。Cox hazardモデルにおいてsRAGEは生存に関わる因子であり、さらに多変量解析を用いて年齢、性別、BMI、喫煙歴 (pack years)、ピルフェニドン治療歴の有無について補正をおこなった上でも、 sRAGE は予後と有意な相関を認めた。さらに同じカットオフ値を用いて急性増悪の有無とsRAGE値の関連についてKaplan-Meier曲線を用いて検討したところ、sRAGE低値は有意に急性増悪と関連していた。従来血清sRAGE値と気腫性変化の関連が報告されており、今回の対照群は気腫の原因と成りうる喫煙者を含んでいた為、気腫とsRAGEの相関を検討したが、今回の対照群では有意な相関を認めなかった。
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