研究課題
若手研究(B)
【症例の追跡調査】本年度は,再び実際にドイツへ渡航し,患者の呼吸機能,HRCT画像,予後について追跡調査を行った.このことにより,呼吸機能の変化・・急性増悪の有無・予後情報をより詳細にアップデートすることが完了した. 【画像の定量化】日独のIPF患者のHRCT画像を,DICOM規格のデータとして書き出す作業がほぼ完了した.解析手法は,現代のHRCT解析に,より適合した新しい手法を採用することに変更した.具体的には,Sumikawaらの手法(Am J Respir Crit Care Med 2008)とIwasawaらの手法(Eur Respir J 2014)を検討している. 【特発性肺線維症急性増悪の病態ならびに人種的な相違の臨床像からの解明】本年度アップデートした新たなデータベースを解析することにより,日独の特発性肺線維症急性増悪には,明らかな人種差があることを明らかにした.日本人という人種そのものが,急性増悪発症の独立した危険因子であることが分かった.【特発性肺線維症急性増悪の病態ならびに人種的な相違の分子レベルからの解明】全血から抽出したゲノムDNAを用いて, MUC1,MUC5B,HER2,ELMOD2,IL8,TERTのSNP解析を行った.その結果,TERT SNPが急性増悪のリスク因子であることを明らかにした.【新たな血清バイオマーカー候補分子の選出方法】間質性肺炎の疾患感受性因子としての報告があるCCL18について,急性増悪における有用性を検討した.その結果,日独いずれの人種においても,CCL18は,急性増悪発症の予測因子としては有用でなかった.しかし,同時に評価を行ったKL-6は,急性増悪発症の予測因子として有用であることを明らかにした. 【組織免疫染色・Morphometry解析】現時点では,特発性肺線維症急性増悪の予測因子として有用なバイオマーカーを,まだ新たに同定できていないため,肺組織免疫染色は実施していない.条件検討のみ行っている段階である.
2: おおむね順調に進展している
特発性肺線維症急性増悪を予測しうる新たなバイオマーカーの同定が,若干遅れているものの,その他は計画どおりかそれ以上に進展している.
現在,スクリーニングを行っているSNP・バイオマーカーの中から,特発性肺線維症急性増悪の疾患感受性因子,予測因子となりうる候補分子を,引き続き同定していく.同定した後は,全患者サンプルを用いてこれらの測定・定量化を行い,臨床的有用性,人種との関連,肺における局在,機能解析等を行っていく.
試薬類を,最初の予定額よりも安価で購入することができたため.昨年度に引き続き,SNP解析・ELISAに必要な試薬購入費に充てる予定である.
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Respiratory Medicine
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