研究実績の概要 |
住居関連など真菌と関連がある過敏性肺炎(HP)の報告は増加しており、Trichosporon以外の環境真菌の重要性も注目されているが、早期診断の手法は確立されていない。今回我々は、真菌を原因抗原とするHPに対して早期診断法を確立するべく、まずHP13例の居住環境調査を行い、環境から採取した検体で真菌培養を施行し、よく検出される環境真菌相を明らかにした。またHP患者の肺胞洗浄液の真菌培養を行い真菌の検出を試みた。次いで真菌に対する特異抗体の存在の有無を相模原病院の協力を得て、84例で免疫沈降法を用いて検討した。続いて環境調査よりよく検出される真菌の4種類(Aspergillus flavus, Cladosporium, Acremonium Sp, Trichosporon Sp)の標準株を用いて真菌抗原を抽出する事に成功した。この真菌抗原を用いて、健常者コントロール9例の血液検体を用いたリンパ球刺激試験(LST)を行い、比較的陰性が多い結果を確認した。続いてHP患者3例の血液検体を用いて同様のLSTを施行したところ、有意に高値で陽性となることが判った(現在進行中)。この標準真菌株から抽出した真菌抗原を用いたLSTは、HPの早期診断につながる可能性が高いと考えられ、さらに検討数を増やしていく予定である。また真菌抗原を用いて患者血清との免疫沈降法を行い、LSTとの相関を検討していく予定である。
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