研究課題/領域番号 |
25860652
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
菊池 崇史 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40649050)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 閉塞性肺疾患 / 27-hydroxycholesterol |
研究概要 |
ヒト胎児肺線維芽細胞(human fetal lung fibroblasts:HFL-1)を1nM~1microMの 27-hydroxycholesterol (27-OHC)で刺激し、Matrix metalloproteinases (MMPs) の産生が亢進するか否か検討した。MMP-9 の産生はgelatin zymography、MMP-1の産生はwestern blot 法で検討した。MMP-9は27-OHC刺激により濃度依存性に産生亢進を認めたが、MMP-1の産生亢進は認められなかった。細胞上清中でTIMP-1の濃度をELISAを用いて検討したが、27-OHC刺激によりTIMP-1濃度に有意な変化は認められなかった。すでに確認済みであったMMP-2産生亢進の結果とこれらの結果から、27-OHCはHFL-1においてTIMP-1の濃度低下を伴わずにMMP-2、MMP-9の産生を亢進することが示唆された。27-OHC がHFL-1において NF-κB p65 蛋白の核内移行に引き続いて TGF-β1の産生を亢進させることはすでに確認済みであったが、この結果を基に、HFL-1をTGF-β中和抗体で前処置した後に10nM、100nMの27-OHCで刺激したところ、27-OHCによるMMP-2およびMMP-9の産生亢進が抑制された。この結果から、27-OHCがNF-κB、TGF-β1の経路を介してMMPの産生亢進を促してる可能性が示唆された。以上の研究成果は27-OHCがCOPDの病態の一つであるプロテアーゼの産生亢進に関与していることを初めて示したものであり、COPD の病勢を反映する新たなバイオマーカーの発見という点で重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた27-OHC刺激によるMMPの産生およびそのシグナル経路について検討を行い、予想された結果が得られたため、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後もHFL-1を用いて27-OHC刺激による生物活性について検討していく予定である。27-OHC刺激によるMMPの産生亢進については、COPDの病態に影響を与えていると考えられている窒素化ストレスの関与についても検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費が当初予定していた額を下回ったため。 次年度の物品費に充当する予定である。
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