HIRA-TAN法の標的病原生物にCOPD増悪の原因の一つとして考えられるパラインエンザウイルスを追加し、前向きに症例の収集を開始した。 安定期のCOPD患者19例において,喀痰培養または,HIRA-TAN法で病原微生物を検出した例は7例.Streptococcus pneumoniae 1例(両者),Klebsiella pneumoniae 1例(培養のみ),Haemophilus influenzae 3例(PCRのみ), Moraxella catarrhalis 2例(PCRのみ)が検出されたが,菌検出の有無・種類と増悪・症状との関連は指摘できなかった.COPD増悪患者8例において,喀痰培養または,HIRA-TAN法で病原微生物を検出した例は7例.Haemophilus influenzae2例(PCRのみ),MRSA2例(両者),M.catarrhalis1例(PCRのみ),Pseudomonas aeruginosa1例(PCRのみ),Streptococcus pneumoniae(PCRのみ),maltphilia1例(培養のみ),candida2例(培養のみ)との結果であった.ウイルスの検出はなかった. また、今回COPD増悪例の起炎菌診断において、後ろ向きにも解析を行った。40才以上で10 Pack-years以上の喫煙歴を有するCOPD増悪例で、これまでHIRA-TAN法を施行した症例計107例を観察、喀痰培養との比較を行ったところ、喀痰培養では107例中35例(32.7%)で常在菌以外の細菌を検出したのに対し、HIRA-TANでは46例(43%)で病原微生物を起炎菌検出した。HIRATANではStreptococcus pneumoniaeを22例起炎菌として検出したが,喀痰培養では6例検出のみと,既存の方法より多くの肺炎球菌を検出した.
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