• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

「新規あるいは稀な」EGFR遺伝子変異を有する肺癌の薬剤感受性解析とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 25860656
研究種目

若手研究(B)

研究機関慶應義塾大学

研究代表者

安田 浩之  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70365261)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード肺癌
研究概要

肺癌における新規あるいは稀なEGFR遺伝子変異について、それら変異を有するDNAを作成し、それをマウス由来のBリンパ球細胞株(Ba/F3細胞)に導入した。さらにそれら遺伝子変異を有するDNAを導入した細胞を用いて、EGFR阻害剤(EGFR tyrosine kinase inhibitors; EGFR-TKIs)に対する薬剤感受性を評価した。その中でEGFR-TKIsに対して感受性を有する遺伝子変異、耐性を有する遺伝子変異を同定した。より具体的にはEGFR A763_Y764insFQEAという遺伝子変異が、EGFR-TKIsに対して感受性の遺伝子変異であることを見出した。またそれ以外のEGFR遺伝子のエクソン20に存在する挿入遺伝子変異は、ほぼ全てのものが、EGFR-TKIsに対して耐性であることを明らかにした。これらin vitroのデータが実際の肺癌患者のデータと一致するのかを確認するために、臨床データを解析し、その結果EGFR A763_Y764insFQEAを有する肺癌患者ではEGFR-TKIsに対して良好な反応を示すことを明らかにした。
さらに、なぜ同じEGFR遺伝子のエクソン20内にある挿入遺伝子変異であるにも関わらず、ある遺伝子変異はEGFR-TKIsに感受性で、多くの遺伝子変異はEGFR-TKIsに耐性であるのかのメカニズムを明らかにするために、各種遺伝子変異を有するEGFRタンパクと、ATPおよびEGFR-TKIsとの親和性をenzyme kinetics assayにより評価した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複数のEGFR変異に対して、EGFR-TKIsへの薬剤感受性を調べることができた。中でもEGFR A763_Y764insFQEAがEGFR-TKIsに対して感受性のある遺伝子変異であるという知見は、同変異を有する患者に対してEGFR-TKIsを用いた治療が有用である可能性を示しており臨床に還元できる情報である。

今後の研究の推進方策

EGFR エクソン20の挿入遺伝子変異は今までに約50種類もの遺伝子変異が報告されている。今後は、まだEGGFFR-TKIsへの感受性が明らかになっていない新たな遺伝子変異に注目し、in vitroでEGFR-TKIsへの感受性を評価していく予定である。より具体的には、新たな遺伝子変異を有するDNAを作成し、それをマウス由来のBa/F3細胞に導入し、その上でEGFR-TKIsへの薬剤感受性を評価する。その中で得られた知見を各種学会で報告し、これら稀なEGFR遺伝子変異を有する肺癌患者が適切なEGFR-TKIs治療を受けられる様努めていく。またEGFR-TKIsに耐性の遺伝子変異についても他の薬剤で感受性を示すものがないかにつういても検証を続けていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

未使用額が発生した理由は、効率的な物品の使用、節約、物品の調達を行った結果であり、次年度の消耗品購入に充てる予定である。
今後も前述の通り稀なEGFR遺伝子の薬剤感受性に関わる研究を進めていく予定である。実験手法そのものは同様であるが、DNAの作成、Ba/F3細胞への導入、MTS assayを用いた薬剤感受性の評価、western blottingを用いたEGFR下流シグナルの評価等を行う予定であり、そのための使用額が生じる。
25年度未使用分未使用額とあわせて26年度分の使用額を、主にin vitro実験の消耗品購入費用として使用する。前述の手法を行うためには、細胞培養試薬、PCR試薬、トランスフェクション試薬、抗体などの購入が必要であり、使用額の大部分はそれらに用いる予定である。その他、学会発表のための旅費などにも使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Structural, biochemical, and clinical characterization of epidermal growth factor receptor (EGFR) exon 20 insertion mutations in lung cancer2013

    • 著者名/発表者名
      Yasuda H, Park E, Yun CH, Sng NJ, Lucena-Araujo AR, Yeo WL, Huberman MS, Cohen DW, Nakayama S, Ishioka K, Yamaguchi N, Hanna M, Oxnard GR, Lathan CS, Moran T, Sequist LV, Chaft JE, Riely GJ, Arcila ME, Soo RA, Meyerson M, Eck MJ, Kobayashi SS, Costa DB
    • 雑誌名

      Science Translational Medicine

      巻: 18;5(216) ページ: 1-10

    • DOI

      10.1126/scitranslmed.3007205.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi