研究課題
肺癌は、世界中で年間100万人以上の新規患者が発生する最も頻度の高い癌の一つである。肺癌の原因遺伝子の中で、最も頻度の高いものの一つがEGFR遺伝子である。肺癌におけるEGFR遺伝子変異については多くの研究がなされている。EGFR遺伝子変異のうち、exon19の欠失型変異およびexon21 point mutation(L858R)は肺癌における全EGFR遺伝子変異の80-90%を占め、いわゆる「古典的」EGFR遺伝子変異群である。2004年に肺癌の「古典的」EGFR遺伝子変異が、EGFR-Tyrosine kinase inhibitors (TKIs)であるgefitinibやerlotinibへの感受性を示す予測因子であることが報告された。遺伝子変異のタイプ毎に薬剤への感受性が予測可能になることで、EGFR-TKIsによって治療効果を得やすい患者と得にくい患者が治療の前に判定でき適切なEGFR-TKIsでの治療が可能になっている。しかし、残りの10-20%のEGFR遺伝子変異群に関しては、世界中で年間3-5万人以上の新規患者が発生しているにも関わらず、充分な研究がなされておらず詳細な感受性の解析データは存在しない。研究の進まない理由としては、その10-20%の中に50種類以上に及ぶ遺伝子変異が存在すること、各変異が「古典的」遺伝子変異と比較して稀であることなどがあげられる。そのため実際にこれら「新規あるいは稀な」遺伝子変異を有する患者では、EGFR-TKIsへの感受性が予測できず、適切なEGFR-TKIsを使った治療が行われていない。本研究では、新規あるいは稀なEGFR遺伝子変異に焦点をあて、EGFR-TKIsに対する薬剤感受性を評価した。またその中で、複数の遺伝子変異に対してどのようにしてEGFRを活性化し、薬剤感受性が決定されるのかを明らかにした。
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International Journal of Oncology
巻: 46(1) ページ: 423-9
10.3892/ijo.2014.2718.