研究概要 |
本年度は、手術あるいは生検による悪性胸膜中皮腫組織検体を用い、Pyrosequencing法によるEGFR, KRAS, BRAF, PIK3CA, NRAS, MEK1, AKT1, PTEN, HER2遺伝子の変異解析、欠失・挿入変異の検出、Quantitative PCRによるEGFR, MET, PIK3CA, FGFR1, FGFR2遺伝子の増幅の検討、Amplicon-based massively parallel sequencingによる48遺伝子の遺伝子変異解析などを行った。これらの解析により、遺伝子異常がいくつか検出された。 また、先述の方法により、悪性胸膜中皮腫細胞株における遺伝子異常もさらに検討し、手術あるいは生検による組織検体と悪性胸膜中皮腫細胞株に共通に認められる遺伝子異常を検出した。 この遺伝子異常が、治療標的となりうるかを検討するために、候補となる複数のチロシンキナーゼ阻害剤、あるいは、セリン・スレオニンキナーゼ阻害剤を用いて、感受性を検討した。一部のキナーゼ阻害剤は、腫瘍増殖抑制効果を示し、手術あるいは生検による組織検体と悪性胸膜中皮腫細胞株に共通に認められた遺伝子異常は、悪性胸膜中皮腫において治療標的となりうることが示唆された。 また、悪性胸膜中皮腫検体で検出された遺伝子異常のうちいくつかは、その存在が、全生存期間と相関することが示唆され、この遺伝子異常も治療標的となりうることが示唆された。
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